安心と安全をごっちゃにしていると……

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今回は、「安心」と「安全」の関係について考えてみたいと思います。

一括りにされることが多い安心と安全ですが……

一括りにされることが多い「安心」と「安全」ですが、中小企業の経営者であるあなたは、これらを明確に区別できているでしょうか?

一括りにされることが多い「安心」と「安全」だが……

ちなみに、「安心」とは心の状態を指す言葉であり、「安全」とは人などが置かれている状態を指す言葉ですから、これらを混同すると不要な混乱を招いてしまう危険があります。

例えば、2021年4月13日に政府が福島第一原発の処理水を海洋放出することを決定したことが報じられましたが、政府や東電は処理水が環境基準を満たしているという「安全」を問題にしているのに対し、地元の漁業者らは政府や東電の言うことが信用できないという「安心」を問題にしているので、このままでは両者が和解することは難しいでしょう。

そのため、政府や東電が地元の漁業者らと和解する気持ちが本当にあるのであれば、まずは地元の漁業者らに自分たちのことを信用してもらうため、風評被害対策の効力を担保することから始める必要があるように思います。

中小企業の経営者であるあなたにも起きる可能性が……

このような安心と安全を混同することによって生じる問題は、中小企業の経営者であるあなたにも起きる可能性があります。

例えば、銀行から融資を受けようとする際には、決算書などの情報を銀行へ提出することになりますが、銀行の担当者がこれらの情報に疑念を持っているような場合です。

(もちろん、誠実な経営者であるあなたは粉飾など行わないでしょうが、世の中には粉飾に手を染めてしまう経営者もいますから、提出された決算書などの情報に何かしら違和感があれば、銀行の担当者が粉飾の可能性を疑うのは仕方がありません……)

上場企業などは公認会計士や監査法人による会計監査を受けることで財務情報の信頼性を確保しています!

このような場合、経営者のあなたが会計数値は良好なので返済可能である(=安全である)ことをいくら説明したとしても、銀行の担当者は決算書などの情報そのものに疑いを持っている(=安心できない)のですから、経営者のあなたが会計数値の良さを強く主張すればするほど、銀行の担当者はどんどん疑念を深めることになるでしょう。

そんな場合であっても、銀行の担当者が「決算書などの情報が信用できません!」とストレートに指摘してくれれば、会計数値が示している返済能力(=安全)が問題になっているのではなく、決算書などの情報の信ぴょう性(=安心)が問題になっていることに気がつくでしょうが、銀行の担当者がそのような指摘をしてくれる可能性は低いと思います。

そうだとすると、経営者であるあなたがまずやるべきことは、このような事態にそもそも陥らないようにするため、銀行へ提出する決算書などの情報に矛盾やおかしな点がないのかを事前にチェックすることです。

その際には、顧問税理士などの会社外部の者に任せきりにするのではなく、経営者であるあなたや経理担当者ら会社内部の人も決算書などの情報をしっかりと点検し、銀行の担当者が疑念を抱きそうな点があるなら、それらの対策をあらかじめ講じておく必要があります

そうすることで、安心と安全を混同してしまうことによって生じる問題を回避し、銀行の担当者も会計数値が示している返済能力(=安全)を検討することに集中できるようになるでしょう。

次回は、「中小企業の定義」についてお話ししたいと思います。

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