地方銀行や信用金庫の統合・再編が進むということは……(地方銀行は大丈夫なのか?その9)

この度は、白石茂義公認会計士事務所のホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。

今回は、「銀行を統合・再編するための支援策」について考えてみたいと思います。

地域金融機関の再編を促すための補助金を創設される!

2020年11月13日の新聞各紙で、政府が地域金融機関の再編を促すための補助金を創設することが報じられました。

地域金融機関の再編を促すための補助金が創設されることが報じられています!

新聞記事によると、この補助金は、地方銀行や信用金庫の合併や経営統合をする際に必要となるシステム統合などの費用の3分の1を国が補助するという内容(統合1件あたり30億円前後になる見通しだそうです……)で、2021年の夏には創設される見込みのようです。

確かに、銀行を統合・再編するに際して、システム統合に対する負担が大きな障害になることはメガバンクの事例を見ても明らかですので、今回の補助金創設の報道は、このような負担を少しでも軽減し、経営基盤が弱体化している地方銀行や信用金庫に、合併や経営統合への後ろ向きの口実を与えないという政府の強い意気込みが感じられます。

又、この報道に先立ち、2020年11月10日には、経営効率の改善や経営統合に取り組む地域金融機関に対して、日銀に預けている当座預金に0.1%の金利を上乗せする新制度を始めることが日銀から発表されていますから、今後は、日銀と政府が歩調を合わせることで、地方銀行や信用金庫の統合・再編が加速しそうです。

中小企業の経営者である自分には関係がないと思っているでしょうが……

中小企業の経営者であるあなたは、政府から地方銀行や信用金庫に補助金が支払われようが、又、日銀から地方銀行や信用金庫に資金が出されようが、正直なところ、自分には関係のない話だと思っているのではないでしょうか?

自分には関係のない話?

けれども、これらの政策により、地方銀行や信用金庫の統合・再編が進むことは、地方銀行の再編、中小企業の経営者であるあなたにも関係がある?(地方銀行は大丈夫なのか?その5)でも説明したように、中小企業の資金調達先が減ってしまうことを意味するため、中小企業の経営者であるあなたにとっても無関係な話というわけにはいきません。

そのため、中小企業の経営者であるあなたの立場からは、地方銀行や信用金庫の統合・再編が急速に進むことはあまり望ましくないということになるのですが、一方で、このまま放置していても、多くの地方銀行や信用金庫が経営基盤を弱体化させていますから、いずれは非常に厳しい状態になるのは目に見えています。

そうなると、地域経済を守るために、地方銀行や信用金庫を何らかの方法で救済しなければならなくなるのですが、ただ資本注入をして救済するだけでは多くの国民から批判されるため、結局、地方銀行や信用金庫の統合・再編を促すことで、国民の理解を得ると同時に経営基盤の強化をするしかないということになります。

更に、これは余計なことなのかもしれませんが、政府は中小企業についても数が多すぎると考えているようです。

つまり、政府としては、地域の雇用を維持することができるのならば、零細な中小企業を今のような形で保護していくよりも、中小企業の統合を促す形で支援していく方が、生産性を高められるという観点からも、政策的には望ましいと考えているようなのです。

中小企業の数は多すぎる?

そうだとすると、地方銀行や信用金庫の統合・再編を進めるという政策は、中小企業の統合を進めるという政策とも整合することになりますから……

次回は、「銀行法改正の影響」についてお話ししたいと思います。

白石茂義公認会計士事務所では、士業コンシェルジュというコンセプトのもと、特に、愛媛県松山市、今治市、新居浜市、西条市の経営者の皆様からのお問い合わせをお待ちしております。

必要の際には、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。