銀行の業務範囲や出資規制などの見直しがされるということは……(地方銀行は大丈夫なのか?その10)

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今回は、「銀行法改正の影響」について考えてみたいと思います。

銀行法が改正されましたが……

少し前になりますが、2021年5月19日に改正銀行法が成立し、銀行の業務範囲や出資規制などの見直しがされました。

銀行の業務範囲や出資規制などの見直しがされた……

銀行の業務範囲の見直しに関しては、銀行本体について、銀行業の経営資源を活用して営むデジタル化のための業務や地方創生など持続可能な社会の構築に資する業務を行えるようになり、又、銀行の子会社・兄弟会社についても、認可基準や収入依存度規制などが緩和されています。

これにより、例えば、銀行が「自行アプリやITシステムの販売」や「登録型人材派遣」などの業務を行うことが可能となり、又、銀行の子会社・兄弟会社である銀行業高度化等会社*も「フィンテック」や「地域商社」以外の業務を(認可を条件としてですが……)幅広く行えるようになりました。

*例外的に銀行業以外の業務を行うことが認められた銀行グループの事業会社のこと。

一方、銀行の出資規制の見直しに関しては、活力が低下している地方経済を支えていくことができるように、銀行が非上場の地域活性化事業会社に対する議決権100%の出資を可能にするなどの措置が講じられています。

自分たちの会社にどのような影響があるのか?

銀行法が改正されたと聞いて、中小企業の経営者であるあなたが気になるのは、おそらく「自分たちの会社にどのような影響があるのか?」ということではないでしょうか?

自分たちの会社にどのような影響があるのか?

今回の銀行法改正を巡る意見の中には、銀行の出資規制の見直しによって、銀行が融資先の経営権を奪い、中小企業の再編を進めてしまうことを危惧する内容の意見なども散見されますから、あなたが自社に対する影響を気にするのは十分に理解できます。

けれども、今回の改正は、地方銀行などの地域金融が人口減少や少子高齢化が進行している地方経済を支えられるようにするという趣旨で行われたものなので、銀行が自分たちの経済基盤である地方経済を衰退させてしまうようなことを安易にするとは思えません。

もちろん、今回の改正によって、銀行が非上場の地域活性化事業会社などの株式を売買することで短期的な利益を得ようとする可能性は否定できませんが、銀行がそのような短絡的な行為をすれば、いずれ銀行自身も生き残ることができなくなります。

それに、融資先である中小企業の同意がなければ、そもそも銀行が議決権のある株式を取得することはできませんから、中小企業の側にも銀行から出資を受ける動機やメリットがなければならず、そのために銀行からの出資の提案に応じたのだとすれば、そのような中小企業の経営者にも相応の責任があると考えるべきです。

但し、銀行から融資の代わりに出資を受けるように強要されたような場合には、優先的地位の濫用に当たる可能性があるので、法的措置を含めて厳格に対処する必要があります。

経営権を奪われないように事前に対策を講じておく必要があります!

又、銀行の業務範囲の見直しについては、どのような新サービスが登場するにせよ、一般の事業会社と取引を開始する場合と同じように、そのような新サービスを利用する価値があるかどうかで判断すればよいでしょう。

万が一、銀行が新サービスの利用を条件に融資の継続をするといったような優越的地位の濫用に当たるような行為をするようなことがあれば、やはり法的措置を含めて厳格に対処する必要があります。

次回は、「銀行の種類」についてお話ししたいと思います。

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