企業経営において流動性を高めるには……(知っているつもり?キャッシュフロー経営!その17)

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今回は、企業経営における流動性について考えてみたいと思います。

流動性を企業経営に当てはめてみると……

近頃、「流動性」という言葉をよく耳にするようになりました。

ちなみに、流動性というのは、株や債券などの金融商品に対して使われることが多いのですが、大辞林第三版によると「ある資産を損失なく貨幣に代える容易さの度合」と説明されていますから、これをあえて企業経営に当てはめてみると、下の資金循環図で表される資金循環の状態と同じようなものだと考えることができます。

そこで、企業経営において流動性が低いという状態を、資金循環図を使って考えてみれば、

  1. 調達の額が少なすぎる、あるいは、調達のタイミングが遅すぎる
  2. 投下の額が多すぎる、あるいは、投下のタイミングが早すぎる
  3. 販売の額が少なすぎる、あるいは、販売のタイミングが遅すぎる
  4. 回収の額が少なすぎる、あるいは、回収のタイミングが遅すぎる
  5. 返済の額が多すぎる、あるいは、返済のタイミングが早すぎる

といったような問題が生じていると解釈することができます。

資金循環図

金融機関から融資を受けることで……

それでは、これらの問題を金融機関から融資を受けることによって解決することはできるでしょうか?

1.の調達の額が少なすぎる、あるいは、調達のタイミングが遅すぎるという問題については、金融機関から融資を受ける場合、まさに資金を調達できることになるので解決することができます。

5.の返済の額が多すぎる、あるいは、返済のタイミングが早すぎるという問題についても、金融機関から融資を受ければ、決済手段である手元資金が増加することになるので解決することができるでしょう。尚、この返済には借入れだけでなく、仕入債務なども含まれます。

借入金も仕入債務も基本的に違いはありません!

2.の投下の額が多すぎる、あるいは、投下のタイミングが早すぎるという問題については、先ほど説明したように、決済手段である手元資金が増加するので、仕入債務や経費などの支払面に関しては解決することはできますが、問題の本質そのものは解決することはできません。これらの問題を解決するためには、経営計画や予算管理を厳格に行い、投下の額を減らしたり、投下のタイミングをコントロールしたりすることが必要になります。

3.の販売の額が少なすぎる、あるいは、販売のタイミングが遅すぎるという問題と4.の回収の額が少なすぎる、あるいは、回収のタイミングが遅すぎるという問題については、決済手段である手元資金を増加させるだけでは問題解決に繋がらず、これらの資金を使って、マーケティングや営業活動を強化し、又、与信管理厳格に行うことが必要になります。

それに、良い借入れ?悪い借入れ?(知っているつもり?キャッシュフロー経営!その15)でも解説したように、金融機関からの融資は、借入時にキャッシュ・インをもたらすという点で売上による収入と何ら変わりませんが、返済時にキャッシュ・アウトが伴うため、売上による収入と違って、将来的にキャッシュ・イン・フローとキャッシュ・アウト・フローのバランスを崩す原因になります。

以上から、企業経営における流動性が低いという問題は、金融機関から融資を受けるだけでは解決することができないという結論になりますが、この結論は、営業キャッシュフローが減少しているという問題は、営業キャッシュフローを増加させることでしか問題解決には繋がらないことを示唆しているともいえるでしょう……

融資を受けることで稼いだ時間を有効に活用することができるのかどうか……

次回は、「自転車操業の原因」について解説してみたいと思います。

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