資本金制度の存在理由とその限界(中小企業経営者のための会社法入門!その5)

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このブログ記事は、2019年6月5日に改題・更新しました。

今回は、「資本金制度の限界」について解説してみたいと思います。

資本充実の原則

間接有限責任を負う社員のみによって構成される「株式会社」では、会社債権者にとって債権の担保になるのは会社財産だけです。

そのため、会社法は会社債権者を保護するために「資本金制度」を採用しました。

会社債権者を保護するために「資本金制度」を採用しました!

確かに、会社設立時や新株発行時には、現実に拠出された会社財産の金額の範囲内で資本金を計上することが要請される(資本充実の原則)ので、会社設立や新株発行がなされた直後においては、資本金の金額に相当する会社財産が確保されているといえますが、その後の事業活動によって、会社財産の金額は資本金とは関係なく変動してしまいます。

このように「資本金」というのは会社財産そのものではなく、会社財産を一時的に入れておくための“容器”のようなものでしかないため、資本金を規制することで会社債権者を保護するには限界があります。

ちなみに、資本金として計上するべき金額は、原則として、実際に払い込まれた金額の総額ですが、その2分の1までの金額については資本金とせず、資本準備金として計上することが認められています。

資本維持の原則、資本不変の原則

会社設立時や新株発行時以外にも、「資本金制度」が働く場面はいくつか存在します。

「資本金制度」が働く場面はいくつか存在する……

例えば、会社法では、配当や自己株式の有償取得などの会社財産が株主に払い戻される行為(これを「剰余金の配当等」と呼びます)について、以下のような規制をしています。(資本維持の原則)

  1. 会社の純資産額が300万円を下回る場合には配当ができません。
  2. 会社の純資産額が300万円を上回る場合であっても、会社法による分配可能額の限度内でのみ剰余金の配当等が可能です。
  3. 法務省令で定めるところにより、配当により減少する剰余金の額の10分の1を資本準備金、又は、利益準備金として積み立てなければなりません。但し、既に資本金額の4分の1に達するまで積み立てをしていれば、それ以上の積み立ては強制されません。

他にも、資本金を減少する場合には、原則として、株主総会での決議及び会社債権者を保護するための手続きが必要になります。(資本不変の原則)

尚、会社債権者を保護するための手続きには、資本金の減少に異議がある場合に、一定の期間内に異議を述べる旨を官報により公告し、かつ、知れたる債権者に対して個別に催告するという方法か、知れたる債権者に対して個別に催告をする代わりに、官報のほか、日刊新聞紙又は電子公告により公告をするという方法があります。

電子公告とはインターネットを利用した公告のことです。

以上、「資本金制度」の概略について説明しましたが、旧商法及び有限会社法では、原則として、株式会社については資本金が1千万円以上、有限会社については資本金が300万円以上必要という「最低資本金制度」が採用されていました。

けれども、会社法においては、このような「最低資本金制度」は採用されていません。

これについては、起業を容易にするために採用しなかったという説明がされますが、会社法が「資本金制度」の限界を認めているために、あえて採用しなかったと解釈することもできるのではないでしょうか?

次回は、「募集株式の発行等」についてお話ししたいと思います。

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