模倣戦略で成功するためには……

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このブログ記事は、2019年10月2日に改題・更新しました。

今回は、「模倣戦略」について解説してみたいと思います。

模倣は恥ずべきことなのか?

中小企業の経営者であるあなたは、“模倣”という言葉に対して、何かネガティブな印象を持っていないでしょうか?

ネガティブな印象を持っていませんか?

確かに、成功している人を模倣することは、何だか後ろめたい感じになってきますし、自分のプライドが傷つけられるような気持ちにもなってきます。

しかし、誰かを模倣することは、海賊版と呼ばれる模倣品を違法に製造するような場合は別として、そんなに恥ずかしいことではありません。

それどころか、模倣という行為は、何か新しいものを創造するための有効な手段でもあるのです。

例えば、『小倉昌男 経営学』(日経BP、1999年)を読むと、ヤマト運輸の個人向け宅急便事業は、牛丼の吉野家などを参考にすることで誕生したことが書かれています。

つまり、吉野家の“取扱う商品を牛丼に絞る”という部分を、ヤマト運輸では“取扱う荷物を個人の小荷物に絞る”という形で模倣することで、個人向け宅急便事業のベースができたというのです。(他にも、個人向け宅急便事業を立ち上げるのに、アメリカの配送業者であるユナイテッド・パーセル・サービスや日本航空の「ジャルパック」を参考にしたことも書かれています。)

模倣戦略とは何か?

一方、「模倣戦略」というのは、成功している商品やサービスと同じようなものを後発として開発・販売するという戦略のことです。

模倣と模倣戦略の関係

この場合の模倣の対象は、先ほどのヤマト運輸の例とは違って、先発の商品やサービスそのものということになるのでしょうが、たとえ上手くマネすることができたとしても、ただの“猿まね”というレベルでは成功する可能性はあまり高くありません。

なぜなら、すでに販売されている商品やサービスと同じようなものを提示されたとしても、わざわざ後発の商品やサービスに変更するための理由が顧客の側には生じないからです。

そのため、後発の側は価格面で訴求することぐらいしか顧客の気を引くための方法が見つからず、先発の商品やサービスのブランド力が弱いような場合には、価格競争が激化してコモディティ化が早く進むことになりますし、先発の商品やサービスのブランド力が強いような場合には、価格競争にすらならずに自滅することになります。

そこで、このような状況に陥らずに模倣戦略を成功させるためには、「なぜ、このような商品やサービスが顧客に受け入れられているのか?」という顧客ニーズの根幹部分にどんどん切り込んでいく必要があります。

そして、顧客が何に魅力を感じているのかを深く理解できれば、先発の商品やサービスに加えるべきもの、あるいは、減らすべきものが見えてくるはずであり、それを実現することができれば、顧客に対して自社の商品やサービスへ変更する理由を提示することができるようになります。

自社の商品やサービスへ変更する理由を顧客に提示できるようにする必要があります!

このように、模倣戦略を成功させるというのは決して簡単なことではなく、むしろ高い能力が必要とされます。

要するに「模倣するということは、ただマネをするということではない!」ということですね。

次回は、「イノベーション」についてお話ししたいと思います。

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