ロングテールが意味するものとは?

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このブログ記事は、2020年8月23日に改題・更新しました。

今回は、「ロングテール」について解説してみたいと思います。

ロングテールとは?

ロングテールとは、厖大な数の商品を売上高順に並べてグラフを作成すると、頻繁には購入されないニッチな商品群の売上高が長い尻尾のように見えることから、クリス・アンダーソンによって命名されたものです。

長い尻尾のように見えるからロングテール!

尚、『ロングテール「売れない商品」を宝の山に変える新戦略』(クリス・アンダーソン著、篠森ゆりこ訳、早川書房)によると、このような厖大な数のニッチな商品群が市場に登場するようになったのは、

1. 生産手段が民主化したこと

パソコンのような安価で高性能な生産手段が普及したことで、これまで機会に恵まれなかったアマチュアでもプロ並みの製品を容易に生産できるようになった。

2. 流通手段が民主化したこと

インターネットが登場したことで、アマゾンのような集積者が低コストで多くの商品を集積できるようになり、消費者にこれらの商品を販売できるようになった。

3. 需要と供給を結びつけやすくなったこと

レコメンデーションなどのフィルタ機能が向上したことで、消費者は選択肢がどんどん増えても自分が欲しいと思うものを簡単に見つけられるようになった。

という3つの追い風が吹いたことが主な理由であると説明しています。

勘違いしてはいけないのは……

これまでは需要がない、あるいは、需要があっても商売として成立するような規模ではないと思われていたニッチな商品群に、3つの追い風が吹いたことで販売機会が与えられるようになると、当初予想していたよりも堅実な需要があることが分かってきました。

ニッチな商品群にも堅実な需要がある!

しかし、勘違いしてはならないのは、これらの現象が示していることは、ニッチな商品であっても、これらをぞんざいに扱うことは想像以上に販売機会を逃してしまう危険があるということであって、何もヒット商品の存在を否定しているわけでもなく、又、その背後にあるパレートの法則を全面的に修正することを要請しているわけでもないということです。

確かに、消費者に多数の選択肢を判断可能な状態で提示できるようになったことで、万人受けするようなヒット商品を意図的に生み出すことは難しくなりましたが、それでも多くの人々の共感を得るようなヒット商品は今でも誕生しています。

それに、ニッチな商品群を全体として見た場合、そこに堅実な需要があることは間違いありませんが、ニッチな商品群をそれぞれ個別に見れば、それらは頻繁に購入されるようなものではありません。

つまり、ヒット商品とニッチな商品群との差は少し縮まってはいるものの、依然としてヒット商品の経済的な優位性は存在しているのです。

そのため、販売機会を逃さないようにするには、ヒット商品だけでなく、ニッチな商品群も積極的に取り扱うことが望ましいのですが、それには在庫コストなどの問題をクリアできていることが前提になります。

残念ながら、「取り扱う商品を増やせば、それに応じて利益も増える……」というような単純な話ではありませんので、くれぐれもご注意ください。

そんな単純な話ではない……

次回は、「コモディティ化」についてお話ししたいと思います。

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