費用収益対応の原則、実際の対応関係について考えてみると……

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今回は、「費用収益対応の原則」について解説したいと思います。

費用収益対応の原則とは何か?

中小企業の経営者であるあなたは、「費用収益対応の原則」って聞いたことがあるでしょうか?

費用収益対応の原則……

実は、費用収益対応の原則については、費用収益対応の原則の要請に従うことで……(中小企業経営者のための簿記会計入門!その8)でも説明したのですが、正しい利益を計算するためには、当期に計上される収益と因果関係のある費用を計上しなければならないという考え方のことです。

尚、収益と費用の対応には、個別的対応と期間的対応の2つがあります。

個別的対応とは、売上高と売上原価の関係に見られるように、販売された商品や製品などを介して、収益と費用が直接的な対応関係にあるものを指し、期間的対応とは、売上高と販売費及び一般管理費の関係に見られるように、同一の会計期間に計上されているということを介して、収益と費用が間接的な対応関係にあるものを指します。

正しい利益を計算するという費用収益対応の原則の目的から考えれば、期間的対応よりも個別的対応の方が望ましいことは言うまでもありませんが、実務の観点から考えてみると、個別的対応が確認できるのは売上高と売上原価の関係ぐらいで、ほとんどの費用は期間的対応によってしか収益と対応させられないというのが実情です。

ほとんどの費用は期間的対応によってしか収益と対応させられない……

実務の観点からは仕方ないとしても……

このように、実務の観点から期間的対応を容認せざるをえないとしても、費用の中には計上された期間だけでなく、それ以降の期間についても効果を及ぼすものがあるので、これらの関係を考慮しないと、収益と費用の対応を歪めてしまう恐れがあります。

例えば、従業員に対する教育訓練のための支出については、支出された期間だけでなく、それ以降の期間についても効果を及ぼすことは明らかだと思いますが、支出額の全てを支出した期間に費用として計上したのでは、教育訓練のための支出が各期の利益獲得にどれくらい貢献しているのかを正しく把握することができません。

そこで、このような問題を回避するためには、支出額の全てを支出した期間に費用として計上するのではなく、次期以降にも効果を及ぼすものについては資産として処理し、費用として計上するのを繰り延べる必要があります。

引当金を計上する場合のように、まだ支出していない費用を対応関係に応じて見積り計上するというパターンもあります!

しかし、これらの支出の多くは、次期以降にも効果を及ぼすことが明らかであっても、その効果を客観的に測定することが難しいため、一部の例外を除き、わざわざ費用として計上するのを繰り延べたりするようなことはしないはずです。

そのため、このような処理によって算定される当期純利益は、収益と費用の因果関係に基づいて算定された当期の業績を表す正しい利益というよりも、投下資本の回収余剰としての処分可能な利益としての性格の方が強いということになります。

(つまり、当面の利益を確保するために、金額が大きい費目を単純に経費削減の対象にしていると、かえって将来の利益を大きく減少させてしまう恐れがあるということです……)

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