外貨建取引によって生じる換算差額をどう会計処理するべきなのか?

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今回は、「為替差益」や「為替差損」について解説したいと思います。

為替差益とは何か?為替差損とは何か?

あなたが経営している会社では、海外との取引を行っているでしょうか?

海外との取引を行っていますか?

もしも、海外との取引を行っているのだとしたら、たとえ零細な中小企業であって、在外支店や在外子会社を設けていなくても、製造業者が商社を通じて輸出入取引を行っているような特殊な場合*1を除き、おそらく外貨建てにより取引を行わなければならないでしょうから、会計上はどこかで自国通貨への換算が必要になってくるはずです。

*1製造業者が商社等を通じて輸出入取引を行うような場合であっても、当該取引によって生ずる為替レートの変動リスクを自社で負担しなければならない等の事情があるようなら、会計上は実質的に外貨建取引を行っているとみなされます。

しかし、尺をメートルに換算するような場合と異なり、外国通貨の金額を自国通貨の金額へ換算する場合には、換算するための係数が固定されていないため、取引時や決済時などの換算を行う際の為替レートの違いによって換算差額が発生することになります。

尚、このような為替レートの変動により生じる換算差額の内、利益が生じている場合の換算差額を「為替差益」、損失が生じている場合の換算差額を「為替差損」と呼びます。

換算差額の処理のイメージ図

一取引基準と二取引基準の考え方の違い!

為替レートの変動による換算差額の会計処理方法については、理論上は「一取引基準」と「二取引基準」の2つが考えられます。

一取引基準とは、外貨建取引とそれに伴って生じる売上債権や仕入債務などの決済取引を連続した1つの取引とみなして換算差額の処理を行うというものであり、二取引基準とは、外貨建取引とそれに伴って生じる売上債権や仕入債務などの決済取引をそれぞれ別個の取引とみなして換算差額の処理を行うというものです。

一取引基準による場合

いずれの処理方法に従ったとしても、通算した利益の合計額は同じですが、一取引基準に従った場合には、換算差額が営業損益に含めて処理されるのに対し、二取引基準に従った場合には、換算差額が営業損益とは区別して処理される点で、両者は大きく異なります。

二取引基準による場合

このような違いは、一取引基準が、企業は為替レートの変動を考慮に入れて、その最終的な円換算額を見込んで取引条件を決定していると考えているのに対し、二取引基準が、換算差額は企業の為替対策の巧拙を表す財務上の損益だと考えていることから生じるものです。

ただ、一取引基準に従った場合には、決済が完了するまでは収益や費用などの金額が確定せず、会計処理が煩雑になってしまう(取引時と決済時の会計期間が異なっている場合を想像してもらえば容易に理解できるとは思いますが……)という実務上の問題があるため、原則として、二取引基準に従って処理するものと会計基準上は定められています。

次回は、「費用収益対応の原則」についてお話ししたいと思います。

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