フリーキャッシュフロー(余剰資金)の求め方?(知っているつもり?キャッシュフロー経営!その20)

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今回は、「フリーキャッシュフロー(余剰資金)」について考えてみたいと思います。

フリーキャッシュフロー(余剰資金)とは何か?

これまで、利益とキャッシュフロー、どちらが儲けとして正しいのか?(知っているつもり?キャッシュフロー経営!その4)などで、「フリーキャッシュフロー(余剰資金)」とは、経営者の判断によって、自由に使途を決められる資金のことであり、本来の営業活動によって獲得した営業キャッシュフローから、必要な投資に係るキャッシュフローを差し引くことで求められる……といった具合にサラッと説明してきました。

サラッと説明してきましたが……

しかし、実際には、必要な投資に係るキャッシュフローが何を指しているのかについては解釈の余地があるため、フリーキャッシュフロー(余剰資金)として求められる額が一つに定まるとは限りません。

つまり、必要な投資に係るキャッシュフローについては、大きく分けて、現在の事業を維持するために必要な投資だけに限定するべきだという考え方と、現在の事業を維持するために必要な投資だけに限定せず、事業を拡大するために必要な投資も含めるべきだという考え方の2つがあるのです。

2つの考え方の相違点は、フリーキャッシュフロー(余剰資金)の中に、株主や債権者などの資金提供者へ自由に分配できる資金だけでなく、事業を拡大するために必要な投資も含めるべきかどうかという点にあり、それは裏を返せば「自由に使途を決められる資金とは何を意味するのか?」という問いに対する考え方の違いだともいえます。

どちらの考え方も間違ってはいません!

営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引くという方法は……

フリーキャッシュフロー(余剰資金)の額の求め方については、キャッシュ・フロー計算書に記載されている営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引くことで求められると説明されることもあります。(むしろ、こちらの説明の方が一般的であるような気もしますが……)

しかし、「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」や「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成に関する実務指針」に従った場合、投資活動によるキャッシュ・フローの中には、必要な投資に係るキャッシュフローだけでなく、運用目的の有価証券の購入や売却によって生じるキャッシュフローなども含まれていますから、これらの額についても、フリーキャッシュフロー(余剰資金)から控除されることになります。

キャッシュ・フロー計算書の説明図

そのため、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引くことで、フリーキャッシュフロー(余剰資金)の額を求めるという方法は、あまり手間がかからず簡単ではあっても、正確な額が求められない方法であり、「あくまでも簡便法なのだ!」という位置づけであることは理解しておくべきでしょう。

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