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今回は、「ゾンビ企業」について解説してみたいと思います。
ゾンビ企業とは何か?
近頃、「ゾンビ企業」という言葉を耳にすることが多くなりました。
中小企業の経営者であるあなたもご存じのように、ゾンビ企業とは、再建する見込みがないにも関わらず、金融機関などから融資や支援を受け続けることで延命している企業のことです。
そもそも、ゾンビ企業という言葉が登場したのは、バブル経済崩壊後の「失われた10年」と呼ばれる現象を説明するためでしたが、今回のコロナ禍では、企業の借入額が増加しているにも関わらず、東京商工リサーチから発表されている『全国企業倒産状況』では企業の倒産件数が減少していることから、「ゾンビ企業が増えているのではないか?」と疑われているのです。
尚、経営支援の名のもとに事業の継続を半ば強制するよりも……でも説明しましたが、『全国企業倒産状況』で示されている倒産件数には自主廃業によって事業活動を停止したものなどは含まれていないため、単純に倒産件数の推移を見るだけではコロナ禍の影響がどうなっているのかを判断することができません。
実際、東京商工リサーチから発表されている『2020年「休廃業・解散企業」動向調査』を見ると、休廃業や解散をした企業の件数は2019年については減少しているものの、2020年は大幅に増加しています。
もちろん、これらの件数には、経営者の高齢化などの理由によって自主廃業した企業も多く含まれていると考えられますが、今回のコロナ禍で将来の見通しが立たないために、ギリギリまで頑張って倒産させてしまうよりも、余力がある内に自主廃業を選択した方が賢明だと判断した企業も相当数いるはずです。
新型コロナウイルス関連の支援をどのタイミングで……
なぜ、黒字倒産が起きるのか?(知っているつもり?キャッシュフロー経営!その8)でも説明したように、企業は赤字になることで倒産するというわけではなく、資金繰りに行き詰まり、支払が不能になることで倒産の危機に陥ることになります。
つまり、資金繰りがいつまでも続くようなら、基本的に企業が倒産することはないため、新型コロナウイルス関連の支援がいつまでも行われることで、本来なら市場から退場させるべき非効率な企業まで延命させてしまうことになるのです。
とはいえ、コロナ禍が経済活動に与えた影響は非常に大きく、コロナ禍が終息したとしても、直ぐに支援を打ち切ることは難しいでしょうから、新型コロナウイルス関連の支援をどのタイミングで縮小していくべきなのかを判断するのは簡単ではありません。
しかも、コロナ禍でなければ健全な状態であったと予想されるような企業についても、通常の借入可能限度額を大きく超えて融資を受けることで企業経営を継続しているという状態ですので、どれがゾンビ企業なのかを一律に判断することは困難です。
以上のことから、ゾンビ企業かどうかの判断を先送りし、支援を求める企業に再建計画を作成させ、コストカットを要請することで、ズルズルと支援を続けてしまう可能性が高いように思います。
けれども、このような後ろ向きの方法では、再建する見込みがある企業を再生させることは難しく、又、ゾンビ企業を長期にわたって温存させてしまうことにもなるので、日本の生産性はどんどん低下していくことになるでしょう……
次回は、「人的資本経営」についてお話ししたいと思います。
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