標準原価計算によりコストを削減できる?(管理会計のワナ!その16)

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今回は、「標準原価計算によるコスト削減の前提」について解説してみたいと思います。

標準原価計算によりコストを削減するには……

こういう仕事をしていると、「標準原価計算を導入して、コストを下げたいのですが……」というような相談をされることがあります。

標準原価計算を導入してコストを下げる……

確かに、中小企業の場合、機械を操作して作業するにしても、従業員の技術力が重要になることが多く、このような場合であれば、標準原価計算を導入して、コストを削減することは十分に期待できます。

けれども、ほとんど全自動で作業は行われ、従業員の仕事は機械の保守管理などであるというような場合、標準原価計算を導入したとしても、コストを削減することはあまり期待できません。

なぜなら、標準原価計算によるコスト削減とは、原価管理を通して従業員の製造作業を上達させ、その結果として、ムダな材料消費が減少したり、作業時間が短縮したりすることで達成されるものだからです。

そのため、標準原価計算によるコスト削減の主な対象は製造直接費(直接材料費や直接労務費)であり、コストの大半を製造間接費が占めるような場合には他の方法を考える必要があります。

原価管理→コスト削減

尚、原価管理というのは、目標となる原価の標準を設定し、それと実績とを比較することでその原因を分析し、改善するための対策を講じることをいいます。

原価管理を行う上でのポイント!

中小企業の経営者であるあなたも、売上目標などを計画した経験があるのなら、目標が高すぎても、又、目標が低すぎても、従業員にやる気を出させることができないことを経験したことがあるのではないでしょうか?

これと同じように、標準原価計算による原価管理が上手くいくかどうかは、目標となる原価の標準を適切に設定できるのかどうかがポイントになります。

つまり、努力すれば何とか達成できるような原材料の消費量や作業時間を目標値として設定することができなければ、たとえ標準原価計算を導入したとしても、コストを削減することはあまり期待できないのです。

そして、そのような目標となる原価の標準を適切に設定できるようになるには、ある程度の期間を必要とするでしょうから、同じ製品を長期に渡って製造しているような状況でなければならないということになります。

又、原価管理による差異分析は、従業員の製造作業を上達させるために、数量面の差異(数量差異や作業時間差異)を把握することが主要な目的であり、価格面の差異(価格差異や賃率差異)についても把握はしますが、こちらは原価管理の主要な目的ではありません。(価格面の差異は原価管理だけでは改善できないためです!)

標準直接材料費と標準直接労務費の差異分析の図

ちなみに、標準原価計算の目的は、原価管理以外にも、財務諸表作成や予算管理に必要な原価データを提供すること、記帳の簡略化や迅速化に役立てることがありますが、現在の経営環境では原価管理だけではコストを削減することは難しくなっているので、原価管理以外の目的で標準原価計算を行っている企業が多くなっています。

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