もし、銀行に対する自己資本比率による規制がなければ……(地方銀行は大丈夫なのか?その6)

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今回は、「銀行に対する規制」について考えてみたいと思います。

銀行に対する規制にはどのようなものがあるのか?

中小企業の経営者であるあなたは、「銀行に対する規制にはどのようなものがあるのか?」と聞かれたら、何を思い浮かべるでしょうか?

銀行に対する規制にはどのようなものがあるのか?

もしかしたら、2019年度中に廃止が予定されている金融検査マニュアルを思い浮かべたかもしれませんが、銀行に対する規制は何もそれだけではありません。

実は、金融自由化が進んでいる今でも、銀行は多様な規制を受けているのです。

例えば、銀行の健全性を確保するという観点からは「バーゼル規制」や「BIS規制」といわれる規制を受けています。(あなたも名前くらいは聞いたことがあるでしょう?)

バーゼル規制とは?BIS規制とは?

バーゼル規制というのは、日本を含む主要28か国及び地域の銀行監督当局と中央銀行で構成されるバーゼル銀行監督委員会が公表している国際的に活動する銀行への自己資本比率などの規制のことです。

又、BIS規制というのは、バーゼル銀行監督委員会の常設事務局が国際決済銀行(Bank for International Settlements)にあることから呼ばれているバーゼル規制の別称のことです。

バーゼル規制は1988年にバーゼル1が策定されたことに始まり、その後、2004年にバーゼル2へと改定され、更には、2010年にバーゼル3が制定され、2017年にはバーゼル3への最終的な合意が成立していますが、更新される度に規制の内容は厳しくなっています。

規制が厳しければ良い!というわけではないが……

中小企業の経営者であるあなたが、これらバーゼル規制の内容について詳しく知る必要はありませんが、ただ、国際基準として、

自己資本比率=自己資本÷リスクアセット*≧8%

という規制があることと、これとは別に、

自己資本比率=自己資本÷リスクアセット*≧4%

という国内基準があることぐらいは知っておいた方がよいでしょう。

*銀行などの金融機関が保有するそれぞれの資産に対して、リスクに応じたリスクウェイト乗じて合算したもの。

尚、海外で活動することが少ない地方銀行の場合、都市銀行と違って、バーゼル規制の影響はあまりないかもしれませんが、先ほど説明したように、自己資本比率に関する国内基準があるので、地方銀行も自己資本比率を無視することはできません。

なぜ、自己資本比率による規制が必要なのか?

前に、銀行のROA(総資産利益率)はなぜ低いのか?(地方銀行は大丈夫なのか?その1)で、銀行はそのビジネスモデルの性質上、ROAがどうしても低くなりやすいことを説明しましたが、これは見方を変えれば、銀行はそのビジネスモデルの性質上、自己資本比率も同じように低くなりやすいことを意味しています。

そのため、自己資本比率による規制をしないと、融資した資金が回収できなくなった場合(=不良債権になった場合)に補填に充てるための財源が足りなくなる可能性があるため、銀行が経営破綻して信用秩序を維持できなくなる危険があるのです。

自己資本比率規制が必要なのは……

このように、自己資本比率による規制は社会的にも必要なものなのですが、一方で、バブル崩壊後に「貸し渋り」や「貸し剥がし」が行われた原因になったともいわれています。

もちろん、今の銀行はそんな無責任なことをやらないとは思うのですが、果たして…… 

次回は、「銀行の与信関係費用」についてお話ししたいと思います。

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