銀行から融資を受けられなくても、通常の新株発行という方法があります?(上手に資金調達しよう!その12)

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今回は、通常の新株発行による資金調達方法について説明したいと思います。

通常の新株発行という方法

新株発行とは、株式会社において、会社成立後に資金調達などを目的として新たに株式を発行することをいいます。尚、新株の発行目的は資金調達に限られませんが、資金調達を目的としたものを「通常の新株発行」と呼んでいます。

銀行から融資を受けられなくても、少人数私募債という方法があります?(上手に資金調達しよう!その11)で紹介した少人数私募債は、銀行から融資を受ける場合と比較して、かなり緩い条件で資金調達が可能でしたが、この通常の新株発行という方法については、調達資金の返済が不要であるという特徴(特長ではありません。特徴です!)があります。

返済が不要……

返済が不要と聞くと、資金調達をする側からすれば、何ともありがたいことのように思えますが、実は、そんな甘い話ではありません。

発行する株式の種類にもよりますが、普通、新株を引受けてもらうということは、新株を発行する会社の株主総会の議決権を付与することになるので、それまでのように会社経営をスムーズに行えなくなる危険が生じるからです。

それに、新株発行については、その発行価格によっては、新株を受ける側に贈与税などの税金が発生することがあるので、税金の面でも注意が必要になります。

資金調達を優先するか?それとも、会社の経営権の維持を優先するか?

通常の新株発行をするには、大きく分けて、既存の株主に対して発行する方法と、第三者に対して発行する方法の二種類があります。

中小企業の場合、ほとんどの株式会社は非公開会社(株式譲渡制限がある会社のこと)であり、株主は経営者だけか、他にいるとしても経営者の血縁者ぐらいで固定されています。

そこで、会社の経営権を今まで通りの状態にしておくには、既存の株主に対して(つまり経営者自身か、経営者の血縁者に対して)新株を発行する方法が望ましいのですが、それでは、十分な量の資金調達ができません。

一方、資金調達を優先し、第三者に対して新株を発行すると、会社の経営権に変動が生じ、今まで通りのスムーズな会社経営ができなくなる恐れが高まります。

株主の権利には、議決権の他にも代表訴訟提起権などがあります。

現行の会社法では、種類株式の発行が認められており、いわゆる黄金株を発行したり、議決権を制限した株式を発行したりすることで、第三者に対して新株を発行する方法を選択したとしても会社の経営権に影響を与えないように工夫することは可能です。

しかし、これだと、高い成長が見込まれるなどの一定の事情でもない限り、新株を引受けたいと思う者が減ってしまうでしょうから、肝心の資金調達が難しくなってしまいます。

資金調達を優先するのか?それとも、会社の経営権の維持を優先するのか?

何とも悩ましい問題です……

次回は、補助金や助成金による資金調達方法についてお話ししたいと思います。

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