会社設立、費用と信頼性のどちらを優先するべきなのか?(中小企業経営者のための会社法入門!その2)

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このブログ記事は、2019年6月5日に改題・更新しました。

今回は、「会社の設立」について解説してみたいと思います。

会社設立の難易度はそれぞれの会社で異なる!

中小企業の経営者であるあなたは、会社を設立するのに最も手間がかかるのは「合名会社」「合資会社」「合同会社」「株式会社」の内、どの会社だと思いますか?

どの会社だと思いますか?

どの会社であっても、会社法上は定款(=会社の組織や活動などに関する規則のこと)を作成することから設立の手続きが始まり、設立の登記をすることで手続きが完了する点で共通しますが、社員(=従業員のことではなく、出資者のことです!)に課せられる責任の違いなどによって、会社設立の難易度はそれぞれ異なってきます。

例えば、直接責任を負う社員だけで構成される「合名会社」や「合資会社」であれば、(実務上は印鑑証明書の準備や商号の調査などの他の手続きが必要になりますが……)会社法上は定款を作成し、設立の登記をするだけで会社の設立が完了します。

一方、間接有限責任を負う社員しかいない「合同会社」であれば、これらの手続きに加えて、会社債権者を保護するため、社員は設立の登記をする時までに出資の履行(=出資の約束をした金銭の全額の払い込みや財産の全部の給付をすること)をしなければなりません。

尚、会社法はこれら「合名会社」「合資会社」「合同会社」を「持分会社」と呼んでいます。

学問上は「人的会社」「物的会社」という分類の仕方もあります!

株式会社の場合には……

更に、「株式会社」になると会社設立の手続きはもっと複雑になります。

間接有限責任を負う社員しかいない点では「合同会社」と同じなのですが、小規模経営を予定している「合同会社」に対して、「株式会社」は大規模経営を予定しているため、多くの利害関係者を保護する必要性があるからです。

そのため、「株式会社」の場合には、ただ定款を作成するだけでは足りず、公証人による定款の認証が必要になりますし、出資の履行についても、金銭以外の財産による払い込みをする場合には、検査役の調査や報告が必要になるなど、より厳格な手続きが必要となります。

又、「株式会社」の設立には、発起人(=会社設立を企画した者のこと)が設立に際して発行する株式の全てを引受ける「発起設立」発起人が株式の一部しか引受けない「募集設立」の2つの方法がありますが、「募集設立」の場合には、より多くの利害関係者が参加することになるため、「発起設立」と比べて、更に厳格な手続きが必要となります。

そして、出資の履行が完了すると、「発起設立」の場合には「発起人会」、「募集設立」の場合には「創立総会」が開かれ、この場で取締役の選任などが行われ、その後、設立の登記がされることで会社の設立は完了します。

発起設立と募集設立の図

以上、会社を設立するのに最も手間がかかるのは「株式会社」ということになりますが、このことは会社設立に係る費用が高い(「合同会社」と比べると、法定費用だけでも14万円~15万円は高い!)ことも同時に意味します。

但し、会社設立に係る費用は安くても、「株式会社」以外の会社形態だと取引相手によっては敬遠される危険もあるので、よく考えた上で選択する必要があるでしょう。

次回は、「会社の機関」についてお話ししたいと思います。

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