中小企業だから人を採れないのか?(中小企業の人材活用術!その5)

この度は、白石茂義公認会計士事務所のホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。

このブログ記事は、2020年1月6日に改題・更新しました。

今回も、「企業経営における給与の影響」について考えてみたいと思います。

入社するかどうかを決めるのは?

前回の従業員が自分の給与に納得していないということは……(中小企業の人材活用術!その4)では、現在働いている従業員に対する給与水準の影響について説明しましたが、今回は、これから会社に入社しようかどうかを考えている者に対する給与水準の影響について説明したいと思います。

近代的組織論・管理論の研究者であるハーバート・サイモンらによる「マーチ&サイモン理論」によると、特定の個人が組織に参加するかどうかの判断は、「誘因効用」と「貢献効用」の関係によって説明できるとしています。

つまり、参加するかどうかを検討している組織から得られる給与などの「誘因効用」が、他の組織に参加すれば得られるであろう「貢献効用」を上回るようなら、その組織に参加することを決めるというのです。

誘因効用と貢献効用の関係式

ここまで説明してみて、「そんな理論を持ち出さなくても、給与が高い会社に入社したいと思うのは当たり前のことでしょ……」という中小企業の経営者であるあなたの文句が聞こえてきそうですが、ここでのポイントは、「誘因効用」は給与などの金銭的な報酬には限定されないということです。

しかも、効用という概念は個人の主観的な価値なので、たとえ同じものであっても、人によって、その大きさはそれぞれ変わることになります。

高い給与額を提示できないとしても……

多くの人々にとって、金銭的な価値が共通の価値尺度になり得ることは疑いようがないでしょう。

金銭的な価値が共通の価値尺度になり得ることは疑いようがない……

そのため、有能な人材を獲得する際に、より高い給与額を提示できる企業が有利になることは間違いありませんが、だからといって、高い給与額を提示できなければ、有能な人材を獲得することができないというわけではありません。

たとえ零細な中小企業であっても、雇用したいと思っている者が高く評価しているものを金銭の代わりに提供することができるのならば、その人材を獲得できる可能性は高まります。

例えば、あなたが経営する会社に、他の会社よりも「これはやりがいがありそうだ!」と感じさせるようなものがあるとしたら、たとえ高い給与額を提示できなくても、その人材を獲得できる可能性は高まるはずです。

但し、何に対して強い魅力を感じるのかは、人によってそれぞれ違いますから、経営者であるあなたにはとても魅力的に思えるようなものであっても、雇用したいと思っている者が同じものに対して魅力を感じるかどうかは分かりません。

逆に、経営者であるあなたには非常につまらないと思えるようなものであっても、雇用したいと思っている者が同じものに対して強い魅力を感じる可能性もあるわけです。

ですから、「あなたの会社の魅力とは何か?」について、現在の従業員に聞いてみてはどうでしょうか?何かしらヒントが得られるかもしれません。

他の人の意見を聞いてみると良いでしょう!

次回は、「従業員のやる気を引き出す方法」について解説したいと思います。

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