財務分析や経営分析で企業の経営状態は簡単に見える化できるのか?(見える化をしよう!その6)

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このブログ記事は、2018年6月12日に改題・更新しました。

今回は、企業の経営状態を「見える化」する方法について考えてみたいと思います。

誰にでも簡単に企業の経営状態を「見える化」できる?

前に、決算書(財務諸表)は経営改善に利用できるのか?(見える化をしよう!その4)で、決算書(財務諸表)というものは、企業の活動全体を包括的に数値化したものなので、問題の“取っ掛かり”を見つけ出すには格好の情報源になり得ると説明しました。

ただ、決算書(財務諸表)などの財務情報を使って問題の“取っ掛かり”を見つけ出すには、ある種の“数字に対するセンス”ともいうべき能力がどうしても必要になりますから、誰にでも簡単に行えるというものではありません。

誰にでも簡単に行えるというものではない……

そこで、誰にでも簡単に企業の経営状態を「見える化」できる方法として、決算書(財務諸表)を構成する貸借対照表や損益計算書などの数値の割合や比率を比較分析したり、期間ごとの推移などを分析したりして企業の経営状態を把握しようとする「財務分析」や「経営分析」と呼ばれる方法が紹介されることがあります。

外部分析と内部分析

財務分析や経営分析と呼ばれる方法には、大きく分けて「外部分析」と呼ばれるものと「内部分析」と呼ばれるものがあります。

外部分析というのは、投資家などの企業外部の利害関係者が株式投資などの意思決定に役立てるために行うものであり、内部分析というのは、企業内部の利害関係者である経営者などが企業経営の意思決定に役立てるために行うものです。

外部分析と内部分析

もともと、財務分析や経営分析と呼ばれる方法は外部分析を中心に発展してきましたから、投資家などが投資を考えている上場企業の経営状態を簡単に「見える化」する方法としては優れた手法だといえます。

しかし、中小企業の経営者であるあなたが、財務分析や経営分析によって自社の経営状態を簡単に「見える化」できると思うのは“早合点”ではないでしょうか?

簡単に企業の経営状態を「見える化」できるようにするための前提……

財務分析や経営分析によって、誰にでも簡単に企業の経営状態を「見える化」できるようにするには、比較の際に基準となるような望ましい割合や比率などを分かっていることが前提になります。

上場企業の場合、業種や業態、採用している経営戦略などによって、多少のバラつきはあるものの、正攻法によって成功している企業が多いので、望ましいバランスがある程度定まってきます。

けれども、中小企業の場合、参考にするべき勝ち組の企業というのは、上場企業が採用できないような独創的なやり方で成功しているパターンが多いですから、それぞれがバラバラでまとまりがなく、又、そのバランスも上場企業と比べると歪(いびつ)になりがちです。

わざとバランスを崩していることが強さの秘訣なのに……

それに、外部分析と内部分析では、「見える化」を行うのに必要とされる情報の深さが異なります。

そうなると、中小企業の経営者が財務分析や経営分析によって自社の経営状態を「見える化」するには、生半可な会計知識だけでは対応できず、ある種の“数字に対するセンス”ともいうべき能力がどうしても必要になりますから、結局は「簡単ではない」という結論になるでしょう。

次回は、知識の「見える化」について解説したいと思います。

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