法人税法における中小企業の境界はどこにあるのか?

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このブログ記事は、2020年3月5日に改題・更新しました。

今回は、法人税法における中小企業の範囲について解説したいと思います。

法人税法における中小企業とは?

中小企業の経営者であるあなたは、法人税法における中小企業の境界がどこにあるのか知っているでしょうか?

法人税法における中小企業の境界?

ただ呼称が変わる程度ならば、境界がどこにあろうが大きな問題にはならないのですが、法人税法における中小企業の境界は、中小企業向けの特例措置が受けられるかどうかにも大きな影響を与えることになるため、その範囲をきちんと知っておく必要があります。

尚、厳密には、企業という用語は法人と個人事業者*の両方を含んだものですが、ここでは法人税法における中小企業の境界について説明したいので、個人事業者*に対する説明については割愛します。

*個人事業主という用語の方が一般的に使用されていますが、消費税法第2条第1項第3号で事業を行う個人を個人事業者と定義していますので、私のブログ記事では個人事業者という用語で統一しています。

中小法人と中小企業者

実は、法人税法における中小企業を指す用語には「(法人税法上の)中小法人」と「(租税特別措置法上の)中小企業者」の2つがあり、又、その内容や受けられる中小企業向けの特例措置なども微妙に違っています。

中小法人と中小企業者の2つがある……

まず、中小法人というのは、(普通法人を前提にすると)資本金の額や出資金の額が1億円以下の法人をいいますが、資本金の額や出資金の額が5億円以上の大法人との間で直接・間接所有を問わず完全支配関係にある法人は除かれます。

そして、中小法人に該当すれば、法人税率の特例、貸倒引当金の特例、交際費の損金不算入制度の特例などを受けることができます。

但し、中小法人であっても、その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得の金額の年平均が15億円を超える法人については「適用除外事業者」とされ、中小企業向けの特例措置の一部については適用の制限を受けることになります。

次に、中小企業者というのは、(普通法人を前提にすると)資本金の額や出資金の額が1億円以下の法人をいいますが、

1. 同一の大規模法人に発行済株式等の2分の1以上を所有されている法人

2. 複数の大規模法人に発行済株式等の3分の2以上を所有されている法人

3. 常時使用する従業員数が1,000人を超える法人

は除かれます。

中小企業者には従業員数の要件もあります!

尚、大規模法人というのは、

1. 資本金の額や出資金の額が1億円を超える法人

2. 資本や出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人を超える法人

3. 資本金の額や出資金の額が5億円以上の大法人との間で直接・間接所有を問わず完全支配関係にある法人

のどれかに該当する法人をいいます。

そして、中小企業者に該当すれば、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例、中小企業経営強化税制、特定事業継続力強化設備等の特別償却制度の特例などを受けることができます。

但し、中小企業者であっても、その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得の金額の年平均が15億円を超える法人については「適用除外事業者」とされ、中小企業向けの特例措置の一部については適用の制限を受けることになります。

次回は、消費税等の税込経理処理と税抜経理処理についてお話ししたいと思います。

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