右下がりの需要曲線の形状を見れば分かるように……(中小企業だからこそできる価格戦略!その2)

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このブログ記事は、2020年9月1日に改題・更新しました。

今回は、「価格と販売量の関係」について考えてみたいと思います。

販売価格の決め方には……

中小企業の経営者であるあなたは、自社の商品やサービスの価格について「どれくらいに設定すれば……」と悩んだ経験はないでしょうか?

どれくらいに設定すれば……

販売価格の決め方には、大きく分けて(1)コストに利益を加算することで販売価格を決定する方法(以下、利益加算法と呼びます)と(2)消費者が相当と考える価値を予測して販売価格を決定する方法(以下、価値予測法と呼びます)の2つが考えられますが、利益加算法は設定可能な販売価格の下限、価値予測法は設定可能な販売価格の上限をそれぞれ意味することになります。

なぜなら、実際の販売価格が利益加算法で求めた販売価格より低ければ、いくら商品やサービスの販売量を増やしても、必要な利益を獲得できませんし、又、実際の販売価格が価値予測法で求めた販売価格より高ければ、前回の経営者であるあなたにとって価値が高いと思うものであっても……(中小企業だからこそできる価格戦略!その1)で説明した「消費者が相当と考える価値≧価格」という関係が成立せず、消費者に商品やサービスを購入してもらえないからです。

そのため、実際の販売価格は利益加算法で求めた販売価格より高く、又、価値予測法で求めた販売価格より低くなければなりません。

利益加算法と価値予測法の関係

下限が上限を上回る?

もし、利益加算法で求めた販売価格よりも価値予測法で求めた販売価格の方が低い場合、設定可能な販売価格の下限が上限を上回ることになるので、上述したような関係は成立しなくなります。

そこで、このような場合に採り得る対策としては、(1)コストを削減する(場合によっては利益も削減する)方法と(2)消費者が相当と考える価値を高める方法の2つが考えられます。

これら2つの内、心理的に手を付けやすいのはコストを削減する方法だと思いますが、この方法は販売価格を引き下げることで価格競争を引き起こしてしまう危険が高く、あまり上手な対策だとはいえません。

一方、消費者が相当と考える価値を高める方法は一筋縄ではいきませんが、販売価格を引き下げないので価格競争を引き起こす危険が低く、財務的基盤の弱い中小企業向きの対策だといえます。

そして、消費者が相当と考える価値を高める方法の内、実行しやすいものとしては、販売する相手を限定するという方法(つまり、ニッチ戦略)が考えられます。

販売する相手を限定するという方法

右下がりの需要曲線の形状を見ても明らかのように、販売量を増やすためには、多くの人に対して「消費者が相当と考える価値≧価格」という関係を成立させる必要があるため、販売価格を低くせざるを得ませんが、販売する相手を自社の商品やサービスに高い価値を感じる人だけに限定するなら、高い価格を設定することは可能なはずです。

後は、規模を小さくしても事業として成立するかどうかが問題ですが……

次回は、「上澄み価格」や「浸透価格」について解説したいと思います。

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