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このブログ記事は、2020年8月22日に改題・更新しました。
今回は、「人口減少によって生まれる未来」について考えてみたいと思います。
少子化対策をいくら行っても……
平成27年10月1日(2015年10月1日)の国勢調査により、日本国内の日本人の人口が減少していることが確かめられました。
日本国内の日本人の人口が減少するということは、(外国人の受け入れを増やさないのであれば……)主要な顧客である日本国内の消費者が減少し、又、働き手である日本国内の従業員の確保が難しくなることを意味しますから、中小企業の経営者であるあなたとしては、自分たちに与える影響が小さいうちに「早く何とかしてほしい!」というのが本音でしょう。
しかし、ベストセラーにもなった『地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減』(増田寛也編著、中央公論新社)によると、日本人の人口減少は出生率の低下による一時的な現象ではなく、長期間に渡り、地方から大都市圏(特に東京圏)へ人口が移動したことにより引き起こされた構造的な問題であることが指摘されています。
つまり、いくら行政が出生率を上昇させるために少子化対策を行っても、この構造的な問題にメスを入れなければ、日本人の人口減少の問題を解決することはできないということなのです。
「集積の経済」による効果を得るために……
人々が地方から大都市圏(特に東京圏)へ移動しているのは、「集積の経済*1」による効果を得るために、多くの企業が大都市圏へ経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を集中させていることが原因だと考えられます。
*1企業活動を特定の地域に集中させることで、生産性が向上したり、取引費用が低減したり、イノベーションを起こしたりする効果のこと。
そうだとすると、グローバル化によって第2次産業(≒工業)に属する工場の多くが海外に出て行ってしまい、第3次産業(≒商業)を中心に経済を回している日本にとっては、そのような経済効果を無視してまで、多くの企業を無理に地方へ移転させることは現実的ではありません。
なぜなら、比較的移転させやすい工場(移転させやすいからこそ、グローバル化によって海外に出て行ってしまったとも考えられるわけですが……)と違い、第3次産業に属する事業の多くは、そもそも人口の少ない地域では商売として成立しないからです。
けれども、IT(厳密にはICT*2)が大幅に進歩したことで、たとえ第3次産業に属する事業であっても、これらの技術を駆使すれば、人口の少ない地域でも商売として成立する可能性が見えてきました。
*2 Information and Communication Technologyの略語で情報通信技術のこと。
そのため、オフライン*3では大都市圏を離れられなくても、オンライン*4を中心にすることで地方に本拠地を移すような事例がどんどん増えれば、いつかは事業を行うための地理的な制約がほとんど無くなる未来がやって来る可能性は十分に考えられます。
*3ここではインターネットを使わない事業全般のことを指しています。
*4ここではインターネットを活用した事業全般のことを指しています。
もしそうなれば、人々が地方から大都市圏へわざわざ移動しなければならない理由はなくなり、日本人の人口減少の問題は意外と早く解決できるような状態になっているかもしれません……
次回は、中小企業の経営者のリーダーとしての役割とマネージャーとしての役割についてお話ししたいと思います。
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