ただ、税率が低いというだけでは……

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このブログ記事は、2020年3月4日に改題・更新しました。

今回は、税率と競争力の関係について解説したいと思います。

それぞれの製品で税率が異なるとしたら……

中小企業の経営者であるあなたは、同じような製品Aと製品Bがあるとして、製品Aと製品Bの税率がそれぞれ異なるとしたら、どう思うでしょうか?

税率がそれぞれ異なるとしたら……

例えば、令和元年10月1日から、消費税に軽減税率が導入されましたが、「みりん」は酒類なので10%の標準税率が適用され、「みりん風調味料」には8%の軽減税率が適用されています。(更に、みりんに対しては酒税も課されています。)

当たり前のことですが、税率の違いは製品の価格に反映されることになりますから、消費者がそれらをほとんど同じような製品だと判断するなら、税率の低い製品の方が販売を増やすことになるはずです。

ビール系飲料における税率を巡る攻防

ビール系飲料については、「ビール」「発泡酒」「新ジャンル商品(いわゆる第三のビール)」の3種類があり、このブログ記事を更新した令和2年3月4日(2020年3月4日)の時点では、それらの酒税法上の税率は異なっています。

このように、それぞれ税率が異なる3種類ものビール系飲料が存在するのは、「ビール」の需要が落ち込んでいることに危機感を抱いたビールメーカーが、税率の低い「発泡酒」に目をつけ、これを「ビール」の代替品として販売したことが原因です。

税率の低い「発泡酒」に目をつけた……

つまり、税率の低い低価格の製品を開発することで競争力を高め、ビール系飲料の販売を少しでも伸ばしたいビールメーカーと、酒税法の見直しを行い、できるだけ税収の確保を図りたい国が、税率を巡る攻防を何度も繰り広げた結果、ビール系飲料については、「ビール」「発泡酒」「新ジャンル商品」の3種類が市場で競合する形になってしまったのです。

しかし、ビール酒造組合がネット上で公開しているビール系飲料の日本の消費量を見てみると、ビールメーカーの意に反して、市場全体としては縮小傾向にある(2005年の総消費量が634.3万klであるのに対し、2018年の総消費量は510.8万klにまで減少している)ようです。

そして、国としても税率を巡る攻防がいつまでも続くことを嫌がったのか、平成29年度の税制改正によって、3種類のビール系飲料については、令和8年10月(2026年10月)に税率が一本化されることになりました。

尚、一本化の形としては、「ビール」の税率を段階的に引き下げるのに対して、「発泡酒」や「新ジャンル商品」の税率を段階的に引き上げることで税率を同じにするようです。

そのため、価格が上がることになる「発泡酒」と「新ジャンル商品」の競争力は低下することになるでしょうが、「ビール」は価格が下がることで競争力が高まるはずです。

お酒が好きな人にとっては、「発泡酒」や「新ジャンル商品」よりも「ビール」が飲みたいはずですから、これにより縮小傾向にあるビール系飲料の市場が拡大に転じるかもしれません。

そうだとすると、税率を下げることで競争力を高めようとしたビールメーカーの戦略が正しかったのか、それとも、間違いだったのか、判断は微妙です……

もっと上手いやり方があったのかも……

次回は、税金と借入金の関係についてお話ししたいと思います。

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