黒字なのに、納税資金が手元にないのはなぜか?

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このブログ記事は、2020年3月4日に改題・更新しました。

今回は、納税資金について解説したいと思います。

あなたは苦労した経験はないですか?

中小企業の経営者であるあなたは、法人税や所得税を納付する際に手元の資金がなくて困った経験はないでしょうか?

手元に資金がない……

実は、法人税や所得税の納税資金を銀行から調達する企業は意外に多いのです。

けれども、消費税ならともかく、法人税や所得税の課税がされているということは、その企業がそれなりに儲かっていることを意味するはずですから、納税するための資金が手元にあってもよさそうなものです。

それなのに、納税資金がないというのは、よく考えてみると、何だかおかしな話ですよね。

納税資金が足りない理由とは?

実は、納税資金が足りなくなる理由は2つ考えられます。

一つ目は、課税所得が生じた時点と税金の支払い時点が離れているという理由です。

課税所得というのは、厳密には、特定の時点(例えば3月31日)に得た税務上の儲けを意味するものではなく、一定期間(例えば4月1日から翌年の3月31日)を通して得た税務上の儲けを意味するものです。

そのため、一定期間を通して得た儲けをその都度きちんと選り分けて、金庫に保管したり、銀行に預けたりするのなら話は別ですが、儲けとして得た資金であっても、普通は回収した他の資金と区別することなく運転資金などに使ってしまうでしょうから、納税しようとする際に、手元に納税するための資金がないということはあり得るわけです。

儲けをきちんと選り分けて金庫に保管していれば話は別ですが……

二つ目は、課税所得の増減と資金残高の増減が一致しない場合があるという理由です。

例えば、設備投資をするような場合には、設備投資によって増加した固定資産は減価償却を通じて各期の課税所得に影響を与えることになりますが、設備投資による各期の減価償却費の増加額と設備投資の代金の支払額が同じでなければ、各期の課税所得の増減と資金残高の増減は一致しなくなります。

又、現金取引ではなく信用取引を行っているような場合にも、課税所得の増減が生じる時点と資金残高の増減が生じる時点がズレることになりますから、そのズレの大きさによっては、各期の課税所得の増減と資金残高の増減は一致しなくなります。

このように、各期の課税所得の増減と資金残高の増減が一致するとは限らないため、たとえ課税所得が黒字であっても、手元に納税するための資金がないということはあり得るわけです。

納税資金で苦労しないためにも……

納税資金に困らないようにするためには、そのための資金を事前に準備しておく必要があります。

事前に準備しておく必要がある……

そこで、予定される納付額をなるべく早く把握すると共に、資金繰り表を作成するなどして、常に手元の資金残高が分かるようにしておき、万が一、納税資金を事前に準備できない恐れがあるような場合には、銀行に事情を説明することで、足りない資金をすぐ調達できるようにしておく必要があります。

尚、税金を滞納してしまうと延滞税が課されることになりますし、納税をしないで放っておいたりすると督促され、最後には財産を差し押さえられてしまいますので注意が必要です。

次回は、税率と競争力の関係についてお話ししたいと思います。

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