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今回は、「過剰品質」について解説してみたいと思います。
民放キー局各社がBS4K放送から撤退することを検討している?
民放キー局各社(BS日テレ、BS朝日、BS‐TBS、BSテレ東、BSフジ)が、2027年の免許更新を機に、更新を行わないでBS4K放送から撤退することを検討しているようです。
私自身のBS4K放送に対する感想としては、かなり大画面のテレビで放送を見ない限り、これまでの2K放送と4K放送の画像の鮮明さの違いは分かりにくく、わざわざ専用の装置を購入してまで視聴したいと思う人がどれ位いるのだろうかと密かに思っていました。
実際に、民放キー局各社がBS4K放送から撤退するのかどうか2025年11月30日の時点では分かりませんが、総務省が公表している資料(2027年9月8日に行われた衛星放送ワーキンググループ<第15回>の配布資料・資料15-1)を見ると、事業に必要なコストに見合うだけの収入が全く得られておらず、このままでは事業を継続するのが難しいことは容易に予想されます。
一方、総務省が公表している資料(2027年9月8日に行われた衛星放送ワーキンググループ<第15回>の配布資料・資料15-2)を見ると、BS4K放送を視聴可能な機器の保有台数は順調に増えてきているようなので、NHKなどのBS4K放送そのものが終了することは当面なさそうにも思えますが、民放キー局各社が撤退することで視聴可能なチャンネル数が減少すれば、BS4K放送を視聴可能な機器の保有台数が減少に転じるかもしれず、そうなれば将来的にはBS4K放送そのものが危ぶまれる可能性もありそうです。
民放キー局各社のBS4K放送が苦戦している原因は……
民放キー局各社のBS4K放送が苦戦している原因は、テレビ放送事業がマス(大衆)を相手にした商売であるにも関わらず、たとえ技術的には可能であっても、多数派が求めていない過剰品質(=製品やサービスの品質や性能が顧客の求める水準を大きく超えていること)のサービスを一方的に提供しようとしていることにあると考えられます。
しかも、電波を送信することによるテレビ放送の場合、BS4K放送の事業活動を行うためには多額の設備投資を必要とし、又、様々な利用に基づく権利料なども発生するようなので、莫大なコストが生じるだけでなく、コスト総額に占める固定費の割合が非常に高く、かなりの売上がなければ損益分岐点に到達しないので、マス(大衆)に支持してもらえなければ、そもそも事業として成立しません。
更に、民放キー局各社については、BS4K放送から得られる主な収益は広告収入であり、視聴者が少ないBS4K放送の番組へ多額の広告料を出してくれるスポンサーはいないでしょうから、BS4K放送のためだけに魅力的なコンテンツを制作するのは現実的ではなく、民放キー局各社がBS4K放送のコンテンツを充実させて視聴者を増やしていくのは、構造的に無理があると考えざるを得ないのです。
但し、この過剰品質の問題は4Kという高画質の規格そのものに生じているのではなく、電波を送信することによるテレビ放送という事業形態と組み合わさることで生じている問題なので、電波を送信することによるテレビ放送という事業形態にこだわらなければ、マス(大衆)を相手にしなくても採算が取れる方法を見つけ出すことで、4K放送という事業が成立する余地はあるのかもしれません。
次回は、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」についてお話ししたいと思います。
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