数値化しやすいという理由だけでKPIとして選んでしまうと……(見える化をしよう!その17)

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今回は、「KPI(重要業績評価指標)」について考えてみたいと思います。

KPI(Key Performance Indicator)とは何か?KGI(Key Goal Indicator)とは何か?

中小企業の経営者であるあなたは、「KPI(Key Performance Indicator)」って聞いたことがあるでしょうか?

KPI(Key Performance Indicator)って何なの?

KPI(Key Performance Indicator)とは、組織や個人の業績を評価するための重要な指標のことであり、日本語では重要業績評価指標と訳されます。

一方、KPI とよく似たKGI(Key Goal Indicator)と呼ばれる用語も存在し、こちらは組織や個人が最終的な目標を達成できたかを評価するための重要な指標であって、日本語では重要目標達成指標と訳されます。

つまり、KGIが“最終的な目標が何かを組織や個人に意識させるための指標”であるのに対し、KPIは“最終的な目標を達成するために組織や個人が達成すべきものが何であるのかを意識させるための指標”であって、KGIを達成するためにはKPIを達成することが必要になるという関係にあるというわけです。

数値化できる情報やデータでないとしても……

PDCAサイクルを回す際に、経営者であるあなたは評価(Check)を厳格に行っているつもりでも……(中小企業経営者のためのPDCAサイクル入門!その7)でも触れたのですが、事実を客観的に検証できるようにするためにも、KPIやKGIは数値を使って設定する必要があります。

数値を使って設定する必要があります!

ただ、最終的な目標を達成できたかを評価するKGIであれば、財務情報を用いることができる場合も多く、KGIを設定できないような事態はほとんど生じないと思いますが、組織や個人の業績を評価するKPIについては、指標に相応しい数値化できる情報やデータを見つけ出すことができないために、KPIを設定できないような事態が生じてしまうことは十分にあり得ます。

なぜなら、どんな情報やデータも必ず数値化できるというわけではなく、世の中には数値化できなくても非常に意味がある情報やデータというものは存在しているからです。

そのため、このような場合にKPIを無理に設定しようとすると、指標にするには相応しくないと思いつつも、それが数値化できる情報やデータであるという理由だけで、敢えてKPIとして選んでしまうという失敗をする危険が高まります。

もちろん、「見える化」という観点からは、数値化されていない情報やデータ(つまり定性情報や定性データ)を使うよりも、数値化されている情報やデータ(つまり定量情報や定量データ)を使う方が望ましいのは言うまでもありませんが、何のためにKPIを設定するのかという観点から考えると、数値化しやすいという理由だけでKPIとして選んでしまうことは正しくないことは明らかです。

何のためにKPIを設定するのかという観点から考えると……

そうだとすると、KPIとは“最終的な目標を達成するために組織や個人が達成すべきものが何であるのかを意識させるための指標”であるという基本に立ち返り、「最終的な目標を達成するためには何をもって組織や個人を動機づける必要があるのか?」を徹底的に考え抜き、そのために最も相応しいと思えるものを見つけ出すことこそが重要なのであり、それが数値化できるかどうかは二の次ということになります。

以上のことから、「見える化」に対する考え方についても、場合に応じて変えていく(数値化による方法だけに固執しない)姿勢が重要という結論になるでしょう。

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