X理論・Y理論、従業員を正しく動機づけたいのであれば……(中小企業の人材活用術!その14)

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今回は、「X理論・Y理論」が意図しているものについて考えてみたいと思います。

X理論・Y理論とは何か?

中小企業の経営者であるあなたは、「X理論・Y理論」って聞いたことがあるでしょうか?

X理論・Y理論?

X理論・Y理論とは、心理学者であり経営学者でもあるダグラス・マクレガーによって提唱されたもので、人間の本質に対する2つの異なった見方とそれらに対応すべき2つのマネジメント手法の関係について述べた理論のことです。

このX理論・Y理論は、従業員のやる気を引き出すには……(中小企業の人材活用術!その6)で説明した心理学者であるアブラハム・マズローが提唱した「欲求階層(段階)説」の影響を強く受けており、X理論は欲求階層(段階)における低位の欲求を、Y理論は高位の欲求を明らかに意識して理論が組み立てられています。

そして、X理論では、人間は生まれながらに仕事を嫌い、自分から責任を取ろうとしないという人間観を採っています。そこで、彼らに仕事をさせて組織の目標を達成するには、金銭による賞罰を行うなどして、彼らの行動を強くコントロールしなければならないと考えます。

一方、Y理論では、人間は生まれながらに仕事を嫌うようなことはなく、条件によっては自分から責任を取ろうとするという人間観を採っています。そこで、彼らに仕事をさせて組織の目標を達成するには、組織の目標と彼らの目標が整合するよう調整することで、彼らが自主的に目標達成のために行動するようサポートすることが重要であると考えます。

欲求階層(段階)説とX理論・Y理論の関係図

自分は従業員の自主性を尊重していると周りに言及していたとしても……

X理論・Y理論について考えて欲しいのは、2つの理論が主張しているマネジメント手法の優劣などではなく、それぞれの理論がモデルとして想定する人間観とマネジメント手法の対応関係についてです。

つまり、経営者がウチの従業員は仕事が嫌いで、責任を回避しようとする段階にあると考えているのであれば、アメとムチによる強権型のマネジメント手法の方が整合するのであり、経営者がウチの従業員はとても勤勉で、進んで責任を取ろうとする段階にあると考えているのであれば、従業員の自主性を重んじたマネジメント手法の方が整合することになります。

そのため、Y理論が主張するマネジメント手法の方が、X理論が主張するマネジメント手法よりも優れているように感じる(先進的なマネジメント手法のような印象がある)のですが、X理論の想定する人間観が支持されるような環境にあると考えられるのであれば、アメとムチによる強権型のマネジメント手法を採用することが正解ということになるわけです。

従業員が置かれている環境によって最適なマネジメント手法は変わります!

更に、うがった見方をすれば、経営者が自分は従業員の自主性を尊重していると周りに言及していたとしても、実際にはアメとムチによる強権型のマネジメント手法を採用しているのであれば、心の内ではウチの従業員は仕事が嫌いで、責任を回避しようとするだろうと考えているのではないかと従業員たちに疑念を持たれることになります。

このように、あなたが従業員に信用され、彼らを正しく動機づけたいのであれば、あなたが本当に思っている人間観とマネジメント手法を整合させる必要があるのです。

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