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今回は、「第三者への承継(その5)」についてお話ししたいと思います。
株式交換とは何か?
前回の事業譲渡による方法で第三者への承継をするなら……(中小企業経営者のための事業承継!その18)では、「事業譲渡」による第三者への承継を説明しましたが、今回は「株式交換」による第三者への承継について説明したいと思います。

株式交換とは組織再編手法の一つであり、完全子会社となる会社の発行済み株式のすべてを完全親会社となる既存の会社に取得させる手法のことですが、完全子会社となる会社の株主には対価として、完全親会社となる会社の株式や社債、新株予約権、現金などが交付されます。
そのため、第三者への承継で株式交換による方法を用いるとすれば、承継する会社の発行済み株式のすべてを後継者に渡し、その対価として後継者が所有ないしは代表する会社の株式や社債、新株予約権、現金などを、承継する会社を所有している現経営者に交付することで事業承継が行われることになります。
尚、株式交換による方法を選択するには、第三者への承継をする方法には……(中小企業経営者のための事業承継!その16)でも述べたように、株式の譲渡や事業譲渡のような取引法上の行為ではなく、あくまでも組織法上の行為なので、後継者の側も株式会社を所有ないしは代表する立場であることが必要です。

事業譲渡や株式の譲渡との相違点!
株式交換による方法は、事業譲渡による方法で第三者への承継をするなら……(中小企業経営者のための事業承継!その18)で説明した事業譲渡による方法と違い、承継のための個別の移転手続きが必要ありませんが、それ故に、後継者の側から見れば、自分には知らされていない簿外債務(=貸借対照表に記載されていない債務のこと)を引き受けてしまうといったような問題が生じる可能性があります。
又、株式の譲渡による方法と株式交換による方法を比べると、会社の所有権を表す株式を譲渡の対象にする点では共通するものの、株式の譲渡による方法が一部の株式だけを譲渡の対象にできるのに対し、株式交換による方法が発行済み株式のすべてを譲渡の対象にしなければならない点で相違します。
これは、株式の譲渡による方法が取引法上の行為であることから、権利の移転そのものが目的であるのに対し、株式交換による方法は組織法上の行為であることから、完全親子会社関係を形成することが目的だからです。

つまり、第三者への承継という場面で利用するのであれば、どちらも承継する会社の株主が変更するという点では共通するものの、株式の譲渡による方法は承継する会社の株式が後継者に移動するだけであるのに対し、株式交換による方法は承継する会社が後継者の所有ないしは代表する会社の完全子会社になるという点で相違するのです。
そして、株式交換による方法は組織再編手法の一つであることから、組織再編税制という枠組みの中で課税関係が処理されることになり、税制適格要件を満たすのかどうかで課税額も大きく変わることになります。
もしも、株式交換による方法を選択するべきか検討しているのであれば、最新の税法を調べた上で、税制適格要件を満たすのかをチェックしてみて下さい。
次回は、「第三者への承継(その6)」について解説してみたいと思います。
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