親族内承継を選択するとしても……(中小企業経営者のための事業承継!その8)

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今回は、「親族内承継(その2)」についてお話ししたいと思います。

十分な時間をかけることで関係者の理解や協力が得られように……

前回の親族内承継を選択したいのなら……(中小企業経営者のための事業承継!その7)では、親族内承継を選択するなら後継者の育成に十分な時間をかけるべきであり、又、そうすることで関係者の理解や協力が得られようになると述べました。

実際、金融機関や取引先などの社外の関係者に対しては、いきなり経営者が交代することを告げるのではなく、かなり早い段階から後継者を同行訪問させ、後継者の人柄などを知ってもらうために時間をかけてコミュニケーションを続けていくことで、経営者が交代する頃には彼らの理解や協力が得られようになります。

又、従業員などの社内の関係者に対しても、最初から後継者を高い役職につけて近寄り難い存在にしてしまうのではなく、まずは社内での下積みを経験させ、後継者の人柄などを知ってもらうと同時に仲間意識を育んでもらう機会を設けることで、経営者が交代する頃には彼らの理解や協力が得られようになるはずです。

不安を解消するための対策を事前に講じておきます!

つまり、ほとんどの関係者が不安を感じるのは「後継者がどのような人物なのか?」が分からないことなのですから、このような不安を解消するための対策を事前に講じておくことで、余計な対立や軋轢などが生じることを避けられるようになります。

十分な時間をかけるだけでは理解や協力が得られない場合も……

一方、社内の関係者の中には、後継者が会社経営に参加することで自らの立場を危うくする者がいる可能性があり、上述したような後継者の人柄などを知ってもらう方法だけでは彼らの理解や協力が得られない場合も十分にあり得ます。

例えば、これまで上手く機能していた会社役員や古参の従業員との役割分担が、後継者が会社経営に参加することを機会に大幅な見直しが必要となり、彼らが社内で権限を行使することが難しくなるような改革が行われるとしたら、会社としては望ましくても、彼ら自身にとっては望ましくはないということになるはずです。

全ての人が善意だけに従って行動するとは限らない……

このような場合、不利益を被る彼らがただ反発するだけなら対処の仕方もあるのですが、改革を骨抜きにしようとあれこれ画策し、形だけの見直しが断行されてしまうと、実権を持たない後継者は社内を上手くコントロールすることができず、彼らにお飾りとしての経営者に祭り上げられてしまう可能性が高くなります。

そのため、このような危険が事前に予想されるのであれば、後継者が自ら問題を解決することは不可能でしょうから、現在の経営者(つまり、あなた!)が改革を主導し、後継者が経営手腕を存分に発揮できるような体制を整備できるように道筋をつけなければなりません。

場合によっては、後継者の障害になりそうな人物については会社を去ってもらうように説得をする必要があります。

いずれにせよ、事業承継問題の本質は「どのように“会社の強み”を次世代へ引き継がせるべきなのか?」を考えるという点にあるので、できるだけ属人的な会社の強みを排し、代わりに組織的な会社の強みに変えていく必要があり、既得権益を失う者からの反発を恐れて新しい体制の導入を先送りするようでは事業承継できたとしても上手くはいきません。

会社の強みの内容を変えていく必要がある!

次回は、「親族内承継(その3)」について解説してみたいと思います。

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