新しさをウリにした差別化を成功させたとしても……(差別化戦略なんて中小企業ができるのか?その8)

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今回は、「差別化の見直し」についてお話ししたいと思います。

あえて差別化の対象を広げないという選択をしたのに……

中小企業の経営者であるあなたは、新しさをウリにした「差別化」の有効期限について考えてみたことはあるでしょうか?

有効期限がどれくらいなのか……

前回の中小企業が差別化で支持を得たいのなら……(差別化戦略なんて中小企業ができるのか?その7)では、新しさをウリにした「差別化」により一定の成果を収めることができた(=対象である顧客から高い支持を得ることに成功した)後であっても、あえて「差別化」の対象を広げないという選択もあり得ることを述べました。

ただ、これは対象となる見込み客の数に関する話であって、中小企業が差別化をしたいと思うなら……(差別化戦略なんて中小企業ができるのか?その6)で説明した「イノベーター理論」に登場するイノベーター(革新者)やアーリーアダプター(初期採用者)だけを相手にしていれば良いという意味ではありません。

なぜなら、イノベーター(革新者)やアーリーアダプター(初期採用者)は新しさに敏感である分、移り気な人々でもあるので、そう遠くないうちに飽きて支持してくれなくなる可能性が高いからです。

そこで、「差別化」の対象を広げるかどうかに関わらず、あなたが事業を長く続けていきたいと思うのなら、イノベーター(革新者)やアーリーアダプター(初期採用者)だけでなく、アーリーマジョリティ(前期追随者)たちからも支持を得られるようにする必要があります。

アーリーマジョリティ(前期追随者)たちを攻略できないと……

経営コンサルタントであるジェフリー・A・ムーアが提唱する「キャズム理論」では、イノベーター(革新者)やアーリーアダプター(初期採用者)から成る初期市場とアーリーマジョリティ(前期追随者)たちから成るメインストリームの間には大きな溝(キャズム)があり、この溝を超えるのは簡単ではないと主張しています。

キャズム理論の図①

つまり、キャズム理論によれば、イノベーター(革新者)やアーリーアダプター(初期採用者)から支持を得ることに成功したとしても、それだけではアーリーマジョリティ(前期追随者)たちからも支持が得られるという保証はないのです。

そうだとすると、これまでのやり方をただ踏襲するだけではアーリーマジョリティ(前期追随者)たちからの支持を得ることは難しく、又、上述したようにイノベーター(革新者)やアーリーアダプター(初期採用者)からの支持が減少していくことを考慮すれば、できるだけ早くこのような状態改めていく必要があります。

しかも、あえて「差別化」の対象を広げないということは、対象となる見込み客の数は増やさないということなので、かなりの高確率で支持を得られるようにしなければ、事業を継続していくのに必要な顧客の数を確保できないはずです。

そのため、これまでの新しさをウリにした「差別化」の内容を見直し、顧客から支持されているものの本質が何であるかを突き詰めることで、新しさだけでは攻略できないアーリーマジョリティ(前期追随者)たちからも支持してもらえるように「差別化」の内容を質的に進化させなければなりません。

いつまでも新しさをウリにはできません!

次回は、「新しさの切り口」について解説してみたいと思います。

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