貸借対照表と損益計算書、どちらを中心だと考えるべきか?(中小企業経営者のための決算書入門!その15)

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今回は、「貸借対照表と損益計算書の繋がり」についてお話ししたいと思います。

貸借対照表と損益計算書の繋がりに対する2つの考え方

中小企業の経営者であるあなたは、貸借対照表と損益計算書の繋がりについて考えてみたことはあるでしょうか?

貸借対照表と損益計算書の繋がり……

貸借対照表と損益計算書の繋がりについては、キャッシュ・フロー計算書が登場したこともあって、それぞれの決算書の関係をきちんと理解できていますか?(中小企業経営者のための決算書入門!その2)でも解説したように、現在では、「ストックに関する情報(=結果)」と「フローに関する情報(=増減理由)」という情報の性質の観点から貸借対照表を中心に説明されることが一般的です。

しかし、一昔前には、期間損益計算を行うという会計構造論の観点から損益計算書を中心に説明されることが一般的でした。

それは、会計の目的は継続企業の前提に基づいて期間損益計算を行うことにあるのだから、貸借対照表も損益計算書と同様に期間損益計算を行うために存在するのであって、その本質は、ある期間の損益計算に含められなかった未解消項目を翌期に繰り越すためのものだと説明するものです。

この場合、貸借対照表の役割は、ある期間の損益計算とその翌期の損益計算を繋ぐための「連結環」であるとされ、貸借対照表は損益計算の補助手段として位置付けられることになります。

連結環のイメージ

未解消項目の内容について考えてみると……

上述したように貸借対照表を捉えた場合、貸借対照表には、支出と費用の期間的なズレである未解消項目、収入と収益の期間的なズレである未解消項目、損益とは関係ない中性的収支の支出と収入の期間的なズレである未解消項目、そして、支払い手段である現金預金がそれぞれ収容されることになります。

支出と費用の期間的なズレである未解消項目には、「支出・未費用」と「費用・未支出」がありますが、支出・未費用には、棚卸資産や固定資産などが該当し、費用・未支出には、仕入債務や未払費用などが該当します。

収入と収益の期間的なズレである未解消項目には、「収入・未収益」と「収益・未収入」がありますが、収入・未収益には、前受金や前受収益などが該当し、収益・未収入には、売上債権や未収収益などが該当します。

支出と収入の期間的なズレである未解消項目には、「支出・未収入」と「収入・未支出」がありますが、支出・未収入には、貸付金や有価証券などが該当し、収入・未支出には、借入金や資本金などが該当します。

このような貸借対照表を「動的貸借対照表」と呼びます!

このように、損益計算書を中心に貸借対照表と損益計算書の繋がりを見てみると、貸借対照表の内容は、収支計算や損益計算の影響を不可避的に受けてしまう構造になっていることが分かると思います。

そのため、貸借対照表には、日本の会計基準は貸借対照表と損益計算書のどちらを重視しているのか?(中小企業経営者のための決算書入門!その10)でも解説したように、財産的な価値を有しているものだけが資産として計上されているわけでもなく、又、債務性を有しているものだけが負債として計上されているわけでもないのです。

次回は、「期間利益の計算方法」について解説してみたいと思います。

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