設備投資に関する意思決定を誤らないためには何を重視するべきなのか?(その設備投資は正解なのか?その10)

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今回は、設備投資の「安全性」についてお話ししたいと思います。

正味現在価値法(NPV法)とは?内部利益率法(IRR法)とは?回収期間法とは?

中小企業の経営者であるあなたは、設備投資に関する経済性計算をする際に、どのような評価方法を選択しているのでしょうか?

どのような評価方法を選択しているのか?

ちなみに、会計理論上で望ましい評価方法とされるのは「正味現在価値法(NPV法)*1」や「内部利益率法(IRR法)*2」だとされており、現在では、これらの評価方法が上場企業を中心に多く採用されています。

*1設備投資をすることで増加する年々の増分現金流入額を予測し、更に、これらの現在価値合計から設備投資額を差し引くことで正味現在価値を算定し、この正味現在価値の大きさによって、設備投資を行うかどうかを判断する評価方法のことです。

*2設備投資をすることで増加する年々の増分現金流入額の現在価値が、設備投資額の現在価値と等しくなるような利益率を算定し、この利益率の大きさによって、設備投資を行うかどうかを判断する評価方法のことです。

しかし、一昔前は「回収期間法」を採用することが一般的でした。

尚、回収期間法というのは、設備投資をすることで増加する年々の増分現金流入額を予測し、設備投資に要した額を何年で回収できるのかを算定することによって、設備投資を行うかどうかを判断する評価方法のことです。

そのため、回収期間法に拠った場合には、回収期間後の増分現金流入額を無視することになるので、収益性を正しく評価することはできませんが、遠い将来の予測ほど不確実性が増すことを考えれば、回収期間が短い方が有利と判断する回収期間法は安全性を考慮しているといえます。

正味現在価値法(NPV法)対 回収期間法

回収期間法が重視されなくなったのは……

設備投資に関する主要な評価方法が、回収期間法から正味現在価値法(NPV法)や内部利益率法(IRR法)へと移行したのは、上場企業の主な資金調達方法が銀行借入などの間接金融から新株や社債発行などの直接金融へと移行したことで、安全性よりも収益性の方が重視されるようになったからだと思われます。

つまり、直接金融と間接金融を比べた場合、通常は、直接金融の方が資本コストは高く、又、返済までの期間も長いため、主要な資金調達方法が間接金融から直接金融へと移行してしまうと、回収期間が短いもの(=安全性が高いもの)よりも、収益性が高い案件を優先しなければならなくなったと考えられるのです。

そうだとすると、中小企業の場合、現在も主な資金調達方法は銀行借入などの間接金融が中心なので、安全性を考慮することができる回収期間法はでも有用な評価方法だと考えることができます。

もちろん、回収期間法だけで意思決定をするのではなく、正味現在価値法(NPV法)や内部利益率法(IRR法)などの他の評価方法の結果も交えて、総合的に判断をする必要はありますが、それでも、より安全性を重視したいのであれば、回収期間法の結果は尊重されるべきです。

複数の評価方法の結果を交えて、総合的に判断をする必要があります!

いずれにせよ、設備投資の判断を誤ってしまうと、その後でリカバリーすることは非常に難しくなるため、中小企業にありがちな、設備投資に関する経済性計算を行わないで、ただ経験と勘と度胸だけで決めてしまうということだけは避けるべきでしょう……

次回は、設備投資の意思決定をする際にリスクを反映する方法について解説します。

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