外発的動機づけと内発的動機づけ、どちらが優れているのか?(中小企業の人材活用術!その9)

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今回は、「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」の関係について考えてみたいと思います。

外発的動機づけとは何か?内発的動機づけとは何か?

中小企業の経営者であるあなたは、動機づけには「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」があるのをご存じでしょうか?

動機づけには「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」がある……

尚、外発的動機づけとは、給与や評価のような他者から与えられるものによって動機づけられることであり、内発的動機づけとは、仕事への達成感といった自分自身の内面から湧き上がるものによって動機づけられることを指します。

おそらく、財務的基盤が弱い中小企業の多くは、金銭的な報酬が中心となる外発的動機づけよりも、従業員の心の問題である内発的動機づけの方が望ましいと思っているはずです。

けれども、外発的動機づけと内発的動機づけには、それぞれに一長一短があるため、どちらかの動機づけの方が一方的に優れているというような単純な関係にはありません。

例えば、外発的動機づけは、動機づけるための方法が明確であり、又、その効果が短期間で現れるというメリットがあります。しかし、金銭的な報酬が中心となるので、多額の費用が必要となることが多く、又、その効果が長続きしないというデメリットもあります。

一方、内発的動機づけは、上手く動機づけられれば、自発的な行動を引き出すことが可能であり、又、その効果が長く続くというメリットがあります。しかし、動機づけるための方法が明確ではなく、又、効果が現れるまでに時間を要するというデメリットもあります。

それぞれメリット・デメリットがある……

外発的動機づけと内発的動機づけの関係は……

外発的動機づけと内発的動機づけの関係については、心理学者であるエドワード・L・デシが「外的報酬が内発的動機づけを低下させている」という主張をしている一方で、外発的動機づけによって内発的動機づけを高められるとする「エンハンシング効果」と呼ばれる効果があることも知られています。

但し、これらの主張は、なぜ、昇給することで従業員のやる気がアップするのか?(中小企業の人材活用術!その8)でも説明したように、金銭的な報酬そのものに対して反応しているのではなく、努力が報われたことに反応しているのだと考えれば、お互いに異なる主張をしているのではないと解釈することもできます。

他にも、レイマン・ポーターとエドワード・ローラー三世による「期待理論」では、従業員に対する動機づけの強さは「期待(報酬確率)」と「誘意性(報酬の主観的価値)」の積によって決まると主張しており、この場合、動機づけに大きな影響を与えているのは、外的報酬や内的報酬といった報酬の内容よりも、そのような動機づけのプロセスの方であるということになります。

そのため、このレイマン・ポーターとエドワード・ローラー三世による「期待理論」によると、外発的動機づけと内発的動機づけの優劣は一律には決められず、それよりも、業績に対して支払われる報酬(外的報酬や内的報酬)が公平であることへの信頼度が重要になるので、従業員の業務遂行努力に応じた明確な報酬構造を設計する必要があります。

どの報酬(外的報酬・内的報酬)の誘意性が高いのかは、従業員ごとに異なります!

ちなみに、この明確な報酬構造というのは、なぜ、昇給することで従業員のやる気がアップするのか?(中小企業の人材活用術!その8)で述べた「給与額の決定基準」だけではありませんので、くれぐれもご注意ください……

次回は、「テレワークを継続するべきか?」について解説したいと思います。

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