継続するべきか?それとも、廃業するべきか?(中小企業経営者のための事業再生!その1)

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今回は、事業の再生可能性を検討することの重要性について考えてみたいと思います。

事業再生とはどういうものか?

「事業再生とはどういうものなのか?」と聞かれたら、中小企業の経営者であるあなたはどのようなものをイメージするでしょうか?

事業再生に対するあなたのイメージは?

もし、赤字続きだった事業をV字回復させて、経営の健全化を図ることをイメージしたのだとしたら、それは“半分当たりで、半分外れている”ということになります。

なぜなら、事業再生とは、再生見込みのある事業については再建を行い、再生見込みのない事業については清算をすることだからです。

残念ですが、再生見込みのない事業については、再生見込みのある事業の足枷とならないように切り離しや廃止をする方向で処理を行った方が、結局は経営者や利害関係者のためになります。

ですから、事業再生では「苦境に陥っている事業が再生する見込みがあるのか?」をきちんと見極められることが非常に重要となります。

再生の可能性があるのかをどう判断すればよいのか?

「苦境に陥っている事業が再生する見込みがあるのか?」を判断するには、数年分の損益計算書を使って判断するのが最も手っ取り早いでしょう。(厳密には、他にも考慮しなければならない事項はありますが……)

損益計算書を使って判断するのが最も手っ取り早い!

但し、ここで注意して欲しいのは、粉飾されていない損益計算書で判断するのはもちろんのこと、税務会計*で作成された損益計算書で判断することも避けるべきだということです。

*税務申告書を作成するために行われる会計のこと。税務会計は実態よりも利益が過大に計上されやすい構造になっているため、“儲かってはいないのに儲かっている”と誤解してしまう恐れがあります。

とにかく、どれくらい正確に利益を算定できているのかで、「苦境に陥っている事業が再生する見込みがあるのか?」の判断の精度も変わってきますから、利益の正確性については細心の注意を払わなければなりません。

そのため、複数の事業を行っているのであれば、きちんと管理会計を導入して、それぞれの事業別に貢献利益を算定する必要がありますが、もう何年も貢献利益の赤字が続いているような事業については、再生する可能性はあまり高くないと判断するべきです。

しかし、新事業については、事業を始めてから数年のうちは利益が出ないことも珍しくはないので、赤字が何年も続いているから再生する可能性は高くないと単純に判断するべきではなく、赤字額が年々減っているような場合であれば、近い将来に黒字化することは十分考えられます。

尚、単一の事業しか行っていないのであれば、営業利益の状態によって再生可能性を判断することになりますが、その場合には、企業全体として再建できるのかを検討しているのと同じことになります。

貢献利益の説明の図

いずれにせよ、事業再生が必要になるのは、経営環境の変化に対する事業の構造転換が追いついていないことが主な原因ですから、グズグズしていたら破産するしか方法がなくなってしまいます。

そうならないためにも、“潔く失敗を認める”ことが大事なのですが……

次回は、事業再生のプロセスなどについてお話ししたいと思います。

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