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今回は、取引先が倒産した場合の対応などについて説明したいと思います。
取引先が倒産してしまったら……
中小企業の経営者であるあなたはもちろん分かっていると思いますが、取引先が倒産してしまった場合、その取引先に対する債権回収は極めて困難になります。
![倒産の分類図](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=483x10000:format=png/path/sd175ba47308b7fa8/image/i5378158ee517f5a2/version/1586169784/%E5%80%92%E7%94%A3%E3%81%AE%E5%88%86%E9%A1%9E%E5%9B%B3.png)
上図のごとく、倒産には様々な種類があり、それぞれ対応策も異なってきますが、いずれにせよ、法的処理により手続きを進めていくには、実務上は法律の専門家に任せるしかなく、又、一般の債権者の一人であるという立場ではできることも限られてきます。
ただ、そうであっても、やっておくべきことはいくつかあります。
まずは、どれくらいの損失が生じるのかをいち早く把握しなければなりません。
そのためには、普段から、債権残高管理業務をきちんとしておく必要があります。
次に、契約が残っている取引があり、出荷予定の商品がある場合には、契約内容にもよりますが、即時に出荷を停止できるのかを検討しなければなりません。
最後に、「相殺」などによる債権回収や自社商品の引上げの可能性などについて検討し、それらを実行した場合に詐害行為*に該当する危険がないのかも合わせて検討します。
担保(物的担保・人的担保)を取得している場合には、念のため、書類などの確認をしておいた方が良いでしょう。
![心配なら、法律の専門家に相談するべきです!](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=390x10000:format=png/path/sd175ba47308b7fa8/image/i2c921f1e1b8f9c7b/version/1513321967/%E5%BF%83%E9%85%8D%E3%81%AA%E3%82%89-%E6%B3%95%E5%BE%8B%E3%81%AE%E5%B0%82%E9%96%80%E5%AE%B6%E3%81%AB%E7%9B%B8%E8%AB%87%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%B9%E3%81%8D%E3%81%A7%E3%81%99.png)
*詐害行為とは、債務者が債権者の権利を害することを知りながら、自己の財産を減少させる行為をいいますが、会社が倒産した場合、倒産手続きは債権者平等の原則によって行われるため、特定の債権者だけが債務者から利益を受けるような行為は詐害行為に該当すると判断される危険があります。裁判所に詐害行為に該当すると判断され、詐害行為取消権が行使されると、回収した債権を債務者に返済しなければなりません。
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)と取引信用保険
上述のように、取引先が倒産してしまった後では債権回収がとても難しくなるため、取引先が倒産する前に対策をしておかなければなりません。
そのための対策のひとつとして「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)」や「取引信用保険」に入るという手段があります。
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)とは、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しているもので、取引先が倒産(夜逃げは除く)した場合に、無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れができるという制度のことです。
一方、取引信用保険とは、民間の損害保険会社が提供しているもので、取引先が倒産したり、(保険会社によっては)一定期間支払不能になったりした場合に、回収不能額の一定割合を保険金として受取ることができるというものです。
![経営セーフティ共済VS取引信用保険](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=670x10000:format=png/path/sd175ba47308b7fa8/image/icb0aced1154d15ec/version/1586169860/%E7%B5%8C%E5%96%B6%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%83%95%E3%83%86%E3%82%A3%E5%85%B1%E6%B8%88vs%E5%8F%96%E5%BC%95%E4%BF%A1%E7%94%A8%E4%BF%9D%E9%99%BA.png)
尚、経営セーフティ共済と取引信用保険は併用することができます。
それに、経営セーフティ共済に加入すれば、掛金を損金算入できるので節税対策に利用できますし、取引信用保険に加入すれば、保険会社が取引先の信用度を調査してくれるので、与信管理にかかる手間やコストを削減することが可能になります。
このように、両者には本来の目的以外にも加入するメリットがあるので、掛金を支払うのは大変ですが加入を検討してみても良いかもしれません。
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