利益はどこへ消えたのか?(知っているつもり?キャッシュフロー経営!その13)

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このブログ記事は、2018年4月5日に改題・更新しました。

今回は、利益とキャッシュの関係について考えてみたいと思います。

なぜ、利益は出ているのに、キャッシュは増えていないのか?

「ちゃんと利益は出ているのに、何でいつもお金が足りないんだ?」

中小企業の経営者であるあなたは、このように思ったことはないでしょうか?

この謎を解くためには、まずは損益計算書と貸借対照表の関係をきちんと理解するところから始めなければなりません。

何でいつもお金が足りないの?

損益計算書とは、フローに関する情報、例えば、×1年4月1日から×2年3月31日といったような一定期間の収益と費用の動きを表したものです。

一方、貸借対照表とは、ストックに関する情報、例えば、×2年3月31日といったような一時点の資産と負債と純資産の状態を表したものです。

そして、損益計算書と貸借対照表は、損益計算書によって算出された利益の額と同額だけ、貸借対照表の純資産の額も増えるという形で関係しています。

ここで、中小企業の経営者であるあなたに考えて欲しいのは、損益計算書によって算出された利益の額というのは、×1年4月1日から×2年3月31日といったような一定期間を通して算出されたものだということです。

そのため、利益を出したことで獲得されたキャッシュが、期末の時点においてもキャッシュのままであるという保証はありません。

以上のことから、“利益は出ているのに、なぜかキャッシュは増えていない”のは、棚卸資産や固定資産を購入するなど、キャッシュ以外の資産を増やすのに使われたのか、借入金の返済に充てるなど、負債を減らすのに使われたことなどが原因ということになります。

貸借対照表と損益計算書の関係

そんなに無駄使いをした覚えはないのに……

例えば、利益を出したことで獲得されたキャッシュが、固定資産の購入に充てられたのだとしたら、その固定資産が長期間に渡って使用され、利益獲得に貢献することで再び資金化するわけですから、キャッシュになるには何年もかかることになります。

又、利益を出したことで獲得されたキャッシュが、棚卸資産の購入に充てられたのだとしたら、棚卸資産が販売されることで再び資金化するわけですから、仮に、不良在庫になってしまったとしたら、ずっとキャッシュになることもなく、たとえ、バーゲンセールにより無理に資金化したとしても、回収できるキャッシュはかなり減ってしまうことになります。(この場合は利益も減ってしまいますが……)

資金循環図⑨

他にも、なぜ、黒字倒産が起きるのか?(知っているつもり?キャッシュフロー経営!その8)で説明したように、経費などの支出の方が、売上による収入よりも先に生じることで、利益は出ているのに、キャッシュが足りなくなるという状態になったりもします。

このように、“利益は出ているのに、いつもお金がない!”という状態は、どんな企業でも起こりうることですから、常に利益情報とキャッシュフロー情報の両方に目配りをしておく必要があるのです。

次回は、キャッシュフロー情報を把握する方法について解説してみたいと思います。

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