利益とキャッシュフローの切っても切れない関係?(知っているつもり?キャッシュフロー経営!その5)

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このブログ記事は、2017年6月10日に改題・更新しました。

今回は、利益とキャッシュフローの関係についてお話ししてみたいと思います。

営業キャッシュフローの算出方法!

中小企業の経営者であるあなたは、利益とキャッシュフローは全く関係がないものだと思っていないでしょうか?

もちろん、利益とキャッシュフローは異なるものですが、全く無関係というわけでもないのです。

というのも、営業キャッシュフローの額は、次の算式により、ザックリとではありますが、求めることができるからです。

営業キャッシュフロー=営業利益+非資金費用*±運転資金の増減額-法人税等の支払額

*非資金費用とは、減価償却費のように、費用ではあるが資金の支出を伴わないものをいいます。

そのため、仮に、運転資金の増減額などが一定であるとするなら、営業利益が増えれば、営業キャッシュフローも増えるという関係が成立することになります。

営業キャッシュフローの算出式

尚、フリーキャッシュフロー(余剰資金)の額は、営業キャッシュフローの額から必要な投資に係るキャッシュフローの額を差し引くことで求めることができますから、フリーキャッシュフロー(余剰資金)についても、同様のことがいえます。

運転資金の増減額を改善するのは簡単か?

運転資金の増減額に影響を与えるのは「売上債権」「棚卸資産」「仕入債務」の増減額です。

売上債権と棚卸資産については、増加すれば営業キャッシュフローを減らし、逆に、減少すれば営業キャッシュフローを増やします。

一方、仕入債務については、増加すれば営業キャッシュフローを増やし、逆に、減少すれば営業キャッシュフローを減らします。

 

運転資金の増減額の図

そのため、キャッシュフロー経営に関する書籍などでは、在庫を減らし、売上債権の回収期限を短くすると共に、仕入債務の支払期限を延ばすよう改善するべきであると指摘しています。

しかし、在庫を減らすとしても、販売機会との兼ね合いを考えなければなりませんし、自社だけでサプライチェーンを最適化することはできませんから、減らせる量には限度があります。

又、売上債権の回収期限や仕入債務の支払期限について、取引相手と交渉することはとても良いことですが、こちらにとって有利な条件ということは、相手にとっては不利な条件ということにもなりますから、中小企業の場合、かなりハードルは高いと覚悟すべきです。(しかも、売上債権の回収期限を短くしたり、仕入債務の支払期限を延ばしたりできるとしても、何度も行えるものではありませんし……)

このように、運転資金の増減額を改善するという方法により、営業キャッシュフローを増やすことは簡単ではありません。

難しい……

そうなると、結局は、営業利益を増やすことが、営業キャッシュフローを増やすための近道ということになるのではないでしょうか?

次回は、キャッシュフロー情報と資金繰りの関係について解説したいと思います。

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