第三者への承継で株式の譲渡を選択する際には……(中小企業経営者のための事業承継!その17)

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今回は、「第三者への承継(その3)」についてお話ししたいと思います。

株式の譲渡は最もオーソドックスな方法だが……

前回の第三者への承継をする方法には……(中小企業経営者のための事業承継!その16)では、「第三者への承継」は「親族内承継」や「親族外の役員・従業員への承継」の場合と違って複数の方法が存在することなどを述べましたが、今回はその内の一つである「株式の譲渡」という方法について説明したいと思います。

「株式の譲渡」という方法……

承継の対象が会社という組織であることを前提とすると、株式の譲渡は第三者への承継だけでなく、親族内承継や親族外の役員・従業員への承継でも用いられる最もオーソドックスな方法です。

しかし、親族内承継や親族外の役員・従業員への承継を行う場合(特に親族内承継を行う場合)、事業承継を円滑に進めるためにも、事業承継する会社の株価が高くなり過ぎないよう事前に対策を講じる(相続や贈与する場合には税金対策を行う)ことが必要になります。

これは、後継者となる親族や親族外の役員・従業員の資金力が乏しいことが多く、後継者が事業承継する際の負担を少しでも軽くする必要があるからですが、その背景に、親しい関係にある後継者が自分の会社を継ぐことで苦労させたくないという現在の経営者の思いがあるからです。

一方、第三者への承継の場合、第三者への承継を選択する際には……(中小企業経営者のための事業承継!その15)でも述べたように、これまで営んできた事業を外部の第三者へ売却しているのと実質的には変わらないので、事業承継する会社の株価ができるだけ高くなるように事前に対策を講じることが多くなります。

税金についても考慮する必要があります!

これは、親族や親族外の役員・従業員が後継者になる場合と違って資金力がある者が後継者として選ばれることが多く、事業承継する会社の株価が高くても株式を取得することが可能だからですが、その背景に、事業承継する会社の株式の売却代金は現在の経営者がリタイアすることに対する報酬としての側面もあるからです。

株価を評価する前提となる企業価値の評価方法には……

このように、親族内承継や親族外の役員・従業員への承継と第三者への承継では、事業承継する会社の株価への事前の対策が異なるのですが、株価を評価する前提となる企業価値の評価方法には、大別して、インカム・アプローチ、マーケット・アプローチ、ネットアセット・アプローチの3種類があります。

インカム・アプローチというのは期待利益や将来キャッシュフローなどを使って企業価値を評価する方法であり、マーケット・アプローチというのは、市場の株価などを使って企業価値を評価する方法であり、ネットアセット・アプローチというのは、企業の純資産を基準に企業価値を評価する方法です。

尚、第三者への承継を行う場合には、これらの方法を併用して評価結果を比較・検討しながら最終的に総合評価を行いますが、評価された企業価値から負債価値を除いた株主価値を使って株価を算定することになります。

企業価値の構成要素

いずれにせよ、売り手である現在の経営者と買い手である後継者の双方が合意しなければ取引は成立しないので、合理的な経済活動に基づく適正な時価となるはずです。

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