経営者保証が必要なのは当たり前のことだと思っていたけど……(地方銀行は大丈夫なのか?その12)

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今回は、「経営者保証」について考えてみたいと思います。

経営者保証のメリット・デメリット!

中小企業の経営者であるあなたは、なぜ銀行が「経営者保証」を求めてくるのか考えてみたことはあるでしょうか?

考えてみたことはあるでしょうか?

銀行が経営者保証を求めてくるのは、融資をしている企業が倒産した場合に備えて、経営者自身からも回収できるようにしておくという説明が一般的にされますが、それ以外にも、経営者のモラルハザード*を回避したいという理由も考えられます。

*経営者が自分には借入金の返済義務がないと考えることで、ハイリスク・ハイリターンな企業経営を行ってしまう危険のこと。

それに、大企業と比較して融資を受けることが難しい中小企業も、銀行からの経営者保証の要請に応じることで、信用面でのハードルを下げることができます。

このように、経営者保証は銀行と中小企業の双方にメリットをもたらしますが、一方で、経営者保証をしているために、成長が見込めてもリスクを伴う新規事業にチャレンジすることを経営者が躊躇してしまうことや、後継者候補が経営者保証を敬遠することで、次世代へ引き継がせるに値する“会社の強み”があるにも関わらず、事業承継をスムーズに進められないといった弊害も生じています。

そこで、全国銀行協会と日本商工会議所が2013年12月に「経営者保証に関するガイドライン」を策定・公表し、経営者保証に対する基本的な考え方や経営者保証が解除できる要件(「法人・個人の区分・分離」「財務基盤の強化」「適時適切な情報開示」)などを示していますが、これらは自主的なルールであり、法的拘束力を伴わないことから、実際には、それぞれの銀行で対応に差があるというのが実情です。

それぞれの銀行で対応に差がある……

経営者保証が実質的に制限される?

以上のような経営者保証をめぐる問題を国として無視することができなくなったのか、2022年11月1日に、金融庁が「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)を公表し、2023年4月から経営者保証を実質的に制限するという姿勢を明らかにしました。

尚、経営者保証を実質的に制限するというのは、経営者保証そのものを原則として制限するのではなく、経営者保証を求める際に具体的な理由を説明し、又、これを記録して金融庁へ報告することを義務付け、更には、経営者保証への取り組み方針を開示させるという形で抑止しようとするものです。

そのため、経営者保証そのものが完全になくなるとは思えませんが、これまでのように銀行が経営者に対して安易に経営者保証を求めることは難しくなるはずなので、どの銀行においても経営者保証の割合が減少していくことは間違いないでしょう。

又、銀行ごとの経営者保証への取り組み方針が開示されることで、それぞれの銀行ごとに経営者保証に対する取り組みが大きく異なるといった事態は、かなり早い段階で解消すると思われます。

いずれにせよ、経営者保証が不要になる場合は今よりも増えていくでしょうから、経営者だけでなく、起業を考えている者や事業承継を打診されている者にとっても、銀行から経営者保証を求められるために断念するようなことは減っていくはずです。

事業承継時の経営者保証については、既に様々な制度が用意されています!(詳しくは中小企業庁のホームページをご覧ください。)

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