税務会計によって作成された決算書を使ってしまうことで……(中小企業の決算書は経営判断に利用できない!その1)

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今回は、「3つの会計の関係」について考えてみたいと思います。

自社の経営状態を正しく把握したいと思うのなら……

中小企業の経営者であるあなたは、普段、どのような情報を使って自社の経営状態を把握しているでしょうか?

どのような情報を使って自社の経営状態を把握していますか?

もしも、銀行や税務署に提出している決算書を使っているのだとしたら、あなたは自社の経営状態を正しく把握できていないのかもしれません。

なぜなら、私の知る限り、ほとんどの中小企業が作成している決算書は「税務会計」により作成されているからです。

ちなみに、ここでいう「税務会計」とは、できるだけ税法の要請に沿うような形で処理が行われる会計のことですが、法人税申告書を効率的に作成できるというメリットはあるものの、企業の経営状態を正しく把握することにはあまり向いていません。

そこで、企業の経営状態を正確に把握したいと強く思うならば、「財務会計」や「管理会計」を行うことが望ましいということになります。

実際、公認会計士や監査法人の会計監査を受けている上場企業や大会社などは、「財務会計」によって決算書を作成したり、「管理会計」によって得られたデータを意思決定や経営管理などに役立てたりしています。

尚、「財務会計」とは、企業外部の利害関係者に企業の経営状態を把握させる目的を持つ会計のことであり、「管理会計」とは、経営者などの企業内部の者に意思決定や経営管理などに役立てるために利用される会計のことです。

本来の会計のあり方

そもそも、会計と税務では目的が異なるので……

「税務会計」によって作成された決算書が、そのままでは企業の経営状態を正しく表すことができないのは、会計と税務では、その目的がそれぞれ異なっているからです。

つまり、「税務会計」においては、(会計という名称が付けられてはいますが……)会計本来の目的よりも、「税収の確保」や「課税の公平」といった税制の目的の方が優先されるため、企業の経営状態を把握し、これを利害関係者に報告するという会計本来の目的を達成することが難しくなるのです。

もちろん、「税務会計」を用いる場合であっても、税法が求める正確な法人税申告書を作成するためだけに利用するというのであれば何ら問題はありません。

しかし、多くの中小企業では、このような事情を考慮せず、下図のように、「税務会計」を使って決算書を作成したり、意思決定や経営管理などに役立てるデータを作成したりしています。

中小企業で行われている会計

これまで意識する機会はなかったかもしれませんが、「税収の確保」や「課税の公平」といった税制の目的を達成するために算定されるべき額と、企業の経営状態を把握し、これを利害関係者に報告するという会計本来の目的を達成するために算定されるべき額は、たまたま一致することもありますが、これらの金額は一致しないことの方が普通です。

そのため、たとえ中小企業であったとしても、「税務会計」によって作成された決算書を使ってしまうと、自社の経営状態を正しく把握できない可能性が高くなるのです……

次回は、「会計と税務の関係」について解説したいと思います。

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