黒字かどうかで判断するのではなく……(中小企業経営者のための事業承継!その1)

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今回は、「事業承継の可能性」についてお話ししたいと思います。

後継者不在率に関するデータを見てみると……

中小企業の経営者であるあなたは、既に後継者を決定しているでしょうか?

後継者は決定していますか?

帝国データバンクが2021年11月22日に公表している『全国企業「後継者不在率」動向調査(2021 年)』によると、2021 年の全国・全業種約 26 万 6000 社における後継者の決定状況を分析したところ、後継者が決定していない企業は 16 万社を超えており、後継者不在率は 61.5%であると報告しています。

ただ、同調査の経営者の年代別の後継者不在率推移を見てみると、事業承継問題が深刻化すると予想される60代が47.4%・70代が37.0%・80代以上が29.4%となっていますから、実態としては40%前後ぐらいが相当であろうと思われます。

更に、これらの数値は、帝国データバンクが調査を開始した2011年以降で最低となっているらしく、地域金融機関を中心した支援などによって、少しずつではありますが、後継者不在という問題に手を付ける経営者は増えているようです。

けれども、私個人の考えではありますが、これらの数値が改善したのは、対象となる多くの高齢の経営者が、思いがけないコロナ禍の影響によって、もともと予定していた事業の廃業を前倒しで実施したからではないかという疑念もあります。

廃業が増えたから、数値が改善したのでは?

事業承継が可能かどうかの判断は……

そもそも、事業承継問題の本質は「どのように“会社の強み”を次世代へ引き継がせるべきなのか?」を考えるという点にあります。

もちろん、会社によっては「どのように後継者の相続税や贈与税の負担を小さくするのか?」を考えることの方が重要な場合もありますが、そのような会社では、(親族内承継にこだわらなければ……)希望者を募っても後継者になりたいと思う人が不在であるという問題は発生していないはずです。

つまり、そのような会社では、経営者が変更したとしても“会社の強み”を維持できるという将来的な見通しが立っているからこそ、(親族内承継にこだわらなければ……)希望者を募っても後継者になりたいと思う人が不在であるという問題は発生しないのです。

これは裏を返せば、次世代へ引き継がせるに値する“会社の強み”がないと考えられる場合、あるいは、どうしても“会社の強み”を次世代へ引き継がせることができないと考えられる場合、後継者が見つからないという問題が発生することを意味します。

次世代へ引き継がせるに値する”会社の強み”の有無がポイントです!

そうだとすると、事業承継が可能かどうかの判断は、よく言われている「黒字かどうか」という基準で行うべきではなく、「次世代引き継がせるに値する“会社の強み”があり、かつ、その“会社の強み”を次世代引き継がせることができるという条件を満たしているかどうか」によって行うべきということになるはずです。

その証拠に、大幅に経費を削減することで、かろうじて黒字を維持できている会社があったとしても、次世代へ引き継がせるに値する“会社の強み”を見つけることができず、業績が回復する見込みもないのであれば、そのような会社の後継者になりたいと手を上げる人は現れないでしょう……

次回は、「事業承継のプロセス」について解説してみたいと思います。

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