経営改善計画の策定を専門家に依頼する際に……(中小企業経営者のための事業再生!その5)

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今回は、経営改善計画の策定支援について考えてみたいと思います。

経営改善計画の策定をするには……

基本的な流れに従うと、前回説明した「状況の把握(デューデリジェンス)」が行われた後、そこから得られた情報をもとに経営改善計画の策定が行われることになります。

但し、中小企業再生支援協議会に持ち込まれるような案件であっても、メインバンクが主導しているような場合だと、簡易な手続きとして、先に経営改善計画の策定支援から行われるようなケースもあります。

案件の性質に応じて柔軟に運用がなされています。

経営改善計画の策定については、中小企業の経営者であるあなた自身が行っても構いませんが、金融機関に承認してもらえるような経営改善計画を策定するには専門的な知識が必要になるので、認定支援機関に登録している専門家などに策定を依頼するというのが一般的です。

ただ、経営改善計画を策定することは、経営者自身が企業の実態を把握し、事業再生による今後の方向性を検証する機会にもなるため、専門家に経営改善計画の策定を丸投げするのではなく、経営者と専門家が二人三脚で経営改善計画の策定にのぞむというのが理想的な形です。

どちらの利益を重視しているのか?

メインバンクが主導しているような場合、経営改善計画の策定を支援するために、メインバンクが擁している専門家を紹介されることがあります。

この際に注意しなければならないのは、その専門家が、仕事を紹介してくれたメインバンクの方を見ているのか?それとも、依頼者であるあなたの方を見ているのか?ということです。

どちらの利益を優先させるのか?

事業再生を前に進めるためには、策定した経営改善計画をメインバンクなどの金融機関に承認してもらう必要がありますが、メインバンクの利益と依頼者であるあなたの利益は必ずしも一致するわけではありません。

なぜなら、「事業再生をして、返済できるようにすること」と「返済ができるように、事業再生をすること」は、よく似てはいますが全く同じものではありませんから、(借りた資金を返済することは当然だとしても……)事業再生を優先することで返済が遅くなったり、逆に、返済を優先することで事業再生が遅くなったりする可能性があるからです。

そのため、メインバンクから紹介された専門家が、依頼者であるあなたの利益を守るためにメインバンクとギリギリまで戦ってくれるのであれば何の問題もありませんが、メインバンクの利益を優先するようであれば、経営改善計画が問題なく承認されたとしても、依頼者であるあなたの利益が害されてしまう恐れがあります。

バランスをどうするのか……

尚、経営改善計画の策定の依頼をする専門家が認定支援機関である場合、一定の要件を満たすことで補助金が支給されますが、今(2018年8月9日現在)のところ、費用の全額を負担してもらえるわけではありませんので、一定割合の費用は依頼をする企業の側が負担をすることになります。

専門家に支払われる費用は自分たちが負担するのに、その専門家はメインバンクの利益の方を優先しているというのは、私なら避けたいと思いますが、中小企業の経営者であるあなたはどう思うでしょうか?

次回は、事業再生のための手続きなどについてお話ししたいと思います。

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