内製化するべきか?それとも、外注するべきか?(経営と会計の気になる関係?その4)

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このブログ記事は、2018年7月17日に改題・更新しました。

今回は、短期的判断と中長期的判断について考えてみたいと思います。

短期的判断をするならば……

中小企業の経営者であるあなたは、「内製化するべきか?」それとも「外注するべきか?」で悩んだことがあるでしょうか?

内製化するべきか?それとも、外注するべきか?

もし、それが既存の生産設備を使うことを前提とした、生産能力が固定されている短期的な問題であるとするなら、管理会計*の計算問題として処理することが可能になります。

*経営者の意思決定や経営管理などに役立てるために行われる会計のことです。

例えば、内製化案を選択した場合に発生する原価を集計した額と、外注案を選択した場合に発生する原価を集計した額を比較し、どちらが有利なのかを判断するといった具合です。尚、どちらかの案を選択することで節約できる額があるなら、これも計算上考慮します。

このように短期的判断をする場合、内製化案を選択した場合に発生する原価や外注案を選択した場合に発生する原価などを集計することにさほどの手間を要しないのであれば、どちらが有利なのかを判断することはそんなに大変なことではありません。

中長期的判断をするとなると……

一方、中長期的な観点から「内製化するべきか?」それとも「外注するべきか?」の判断をする場合には、経営者の意思決定によって生産能力そのものを変動させてしまうことができるため、先ほどのような管理会計の計算問題として処理することができません。

経営者の考え方次第で計算の基礎となる数字そのものが変動してしまう……

そこで、まずは経営者として「どのような経営戦略を採用するのか?」ということを明らかにしておく必要があります。

なぜなら、経営者が採用する経営戦略によって、どちらが望ましいのかの判断が大きく違ってくるためです。

例えば、前提条件が同じであったとしても、高い生産技術や生産ノウハウを獲得して、これをテコに勝負をしていく経営戦略を考えているのであれば「内製化」を選択した方が良いでしょうし、付加価値が高い“製品の企画”や“製品デザイン”で勝負をしていく経営戦略を考えているのであれば、余分な経営資源を持つ必要はないので「外注」を選択した方が良いはずです。

内製化するべきか?それとも、外注するべきか?

もちろん、「内製化」の選択をする場合には、そのための設備投資が必要になりますから、それによって生じる財務的負担に耐えられることが前提になりますし、「外注」という選択をする場合には、“企画力”や“デザイン力”といったような経営資源だけで競争をしなければならないので、それらに十分な競争力があることが必要になります。

ですから、経営者が採用する経営戦略が決まれば、「内製化するべきか?」それとも「外注するべきか?」も自動的に決められるというわけではありませんが、それでも、まずは経営者が採用しようとする経営戦略を決めるところからスタートするのが最も無難な方法です。

まあ、あなたが企業経営を失敗したいと思っているなら話は別ですが……

次回は、会計基準と経営判断の関係について解説したいと思います。

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