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このブログ記事は、2018年7月29日に改題・更新しました。
今回は、「相関関係」と「因果関係」について考えてみたいと思います。
売上の減少に強い影響を与えているものを特定しなければならないが……
以前、売上が落ち込んできた場合にするべきこととは?(見える化をしよう!その1)で、売上が落ち込んできた場合に最初にするべきことは、原因を「見える化」することだと解説しました。そして、そのためには、売上の減少に強い影響を与えているものを特定しなければならないと説明しました。
そこで、この売上の減少に強い影響を与えているものを特定する場合、それが売上の増減と「相関関係」があるということだけでなく、きちんと「因果関係」があるというところまで踏み込んで検証していく必要があります。
「相関関係」と「因果関係」
例えば、救急車の出動回数が多くなるほど、かき氷の売上が増えているというデータが得られた場合を考えてみてください。
この場合、救急車の出動回数が多くなるほど、かき氷の売上が増えているなら、“救急車の出動回数”と“かき氷の売上”の間には「相関関係」があることになります。
けれども、常識的には“救急車の出動回数が増加する”という原因が、“かき氷の売上を増加させる”という結果に結びつくとはあまり思えないので、“救急車の出動回数”と“かき氷の売上”の間に「因果関係」があるとは思えません。
そのため、このようなことが起きているのは、単なる偶然であるか、「擬似相関」が生じていることが理由として考えられます。
「擬似相関」とは?
「擬似相関」というのは、2つの事象に共通する見えない因果関係が存在するために、2つの事象の間にあたかも「因果関係」が存在するかのように見えることを指します。
上記の例であれば、“救急車の出動回数”と“かき氷の売上”に共通する見えない因果関係が存在しているために、両者の間に「因果関係」が存在しているように見えてしまうということです。
例えば、あまりの暑さに少しでも涼を取ろうとかき氷を購入する人が増えた一方で、あまりの暑さで熱中症になる人も増加して救急車の出動回数が増えた……といったような具合です。
このような「擬似相関」が生じている場合、「擬似相関」を引き起こしている共通の因果関係まで踏み込んで「見える化」しないと、本当の原因にたどり着くことができません。(ちなみに、この場合には“暑さ”という原因が、“かき氷の売上を増加させる”という結果をもたらしています。)
上記の例のように、救急車の出動回数が多くなるほど、かき氷の売上が増えているような場合には、それが単なる偶然であるか、「擬似相関」が生じている可能性にすぐ気がつきますが、違和感がないようなものであれば、それが単なる偶然であるか、「擬似相関」が生じている可能性になかなか気がつくことができません。
そうなると、両者の間に「因果関係」が存在していると思い込んでしまい、全く見当違いのものが原因であると勘違いしてしまうことになります。
そうならないためにも、原因分析をする際には、一歩踏み込んで「見える化」をすることを心掛けましょう。
次回は、技術力を見える化する方法について解説したいと思います。
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