経営が先か?それとも、会計が先か?(経営と会計の気になる関係?その1)

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このブログ記事は、2018年7月16日に改題・更新しました。

今回は、経営と会計の順番について考えてみたいと思います。

「まず会計が先にあって、その後に経営が続く」というような関係は成立するのか?

中小企業の経営者であるあなたは、経営と会計の順番について考えてみたことがあるでしょうか?(尚、ここでいう会計とは、決算書などを作成するために行われる制度会計のことを指しています。)

経営と会計の順番……

これについては、「まず経営が先にあって、その後に会計が続く」という関係だけが成立するのであって、その逆の関係が成立するようなことはありません。

なぜなら、会計とは企業活動の結果を金額により測定して記録し、それを報告するためのものですから、企業活動をコントロールしている経営よりも先にくることは原理上あり得ないからです。

つまり、経営原因であって、会計は結果という関係なのです。

但し、これは制度会計が経営に何らの影響も及ぼすことがないという意味ではなく、あくまでも順番についての話です。

けれども、経営者の中には、これらの順番を「タマゴが先か?ニワトリが先か?」という関係と同じようなものだと思ってしまう方がいるようです。

そこで、あえて「まず会計が先にあって、その後に経営が続く」というような関係がどういうものになるのかを考えてみるとすれば、例えば、実際には利益が出ていないのに、粉飾をして利益が出ているように見せかければ、それに合わせて経営状態もいずれは改善されていく……といったような関係が考えられます。

もちろん、このような関係が実際には成立しないことは誰にでもすぐ分かるでしょう。

タマゴが先か?ニワトリが先か?

不適切会計という用語を使っていても……

一方、世の中には「不適切会計」という用語も存在します。

不適切会計というのは、会計処理や会計判断が適切でなかったことを意味する用語ですから、この用語だけでは誤りが故意になされたのかどうかまでは分かりません。

ただ、2015年に発覚した「東芝不正事件」は、当初は不適切会計の問題として報道されていました。

つまり、これらの事件はあくまでも会計処理や会計判断の仕方に問題があったという扱いだったのです。

しかし、調査が進むにつれて、当初伝えられていたよりも経営状態が悪化していたことが次第に明らかとなり、一部の報道機関が「不正会計」という用語に切り替えて報道するようになりました。

尚、「不正」という用語は意図的な誤りがなされた場合に使われるものです。

結局、東芝不正事件は経営陣の業績見通しの甘さが原因で起きたものであり、その尻拭いのために不正な会計処理が行われていたことが明らかになりましたが、このことは「まず経営が先にあって、その後に会計が続く」という関係だけが成立し得るのであって、その逆の関係が成立するようなことはないことを如実に表したものだといえます。

粉飾をしても実態は変わりません!

まあ、当時の経営陣は本気で「まず会計が先にあって、その後に経営が続く」という関係についても成立し得ると思っていたのかもしれませんが……

次回は、経営戦略と管理会計の関係について解説したいと思います。

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