経営者の皆様、税制改正に振り回されていませんか?

経営者の皆様はよく御存じでしょうが、毎年度、政府で税制改正要望が検討されて、大綱が作られ、法令や政令によって、何かしらの税目が改正されています。

例えば、景気後退局面にある場合などは、政府は景気浮揚策として、法人税の見直しを行い、設備投資促進政策の一環として、設備投資減税や減価償却等の特例を打ち出したりします。

そうすると、経営者の皆様は、減税や特例の恩恵を受けようと、設備投資を前倒しで実施したりするのです。

そして、それらは、結果として会社経営に大きな影響を及ぼします。

 

しかし、上記のようなことが、例年の行事のように行われているのを見て、私などは、失礼を承知で言わせて頂ければ、『経営者の皆様は税金の支払いを極端に嫌うあまりに、会社としての正しい意思決定を行えているのだろうか?』と不安に思ってしまうのです。

税務メリットを追求するだけでなく、きちんとした投資判断が出来ているのか?

まず、誤解されないために言っておきますが、もともと設備投資を計画されていて、投資しようとしていた設備が、減税や特例の対象になっていた場合などは、税制改正の恩恵を受けるべきですし、税制改正により設備投資をしようと思い立ったとしても、きちんと設備投資に関する投資判断を行った結果、有利な投資案件であると判断されるような場合には、税制改正の恩恵を受けてもいいでしょう。

しかし、減税や特例の適用を受けたいという気持ちだけで、きちんとした情報に基づく投資判断もせずに、経験と勘と度胸だけを頼りに、設備投資の意思決定をするのはどうかと思うのです。

それに、一般的に設備投資減税や減価償却の特例などを受けるためには、様々な細かい要件が定められているのが普通なので、使い勝手が悪いものが多く、適用を受けても、結果として設備投資の効果のほどは、あまり・・・ということになってしまうケースも散見されます。

そのため、設備投資をするという意思決定をする場合には、このような事態が生じないように、慎重に判断しなければなりません。

しかるに、中小企業の場合には、中小企業の決算書は、経営判断に利用できない?その1でも解説しましたが、多くの企業が、税務会計により作成される決算書で、設備投資などの経営判断まで行っているため、誤った意思決定をする危険があるのです。

設備投資に関する意思決定をするには、管理会計により、判断のための情報を作成する必要があります。

設備投資に関する意思決定をするためには、管理会計により作成された資料に基づいて行わないと、正しい判断はできません。

そして、管理会計を正しく実施するためには、背景に、経営に関しての深い知識や経験がなければなければならないのです。

中小企業の経営者の皆様のよくある誤解に、『決算書は経営判断に使えない。だから、会計は経営には使えない!』というものがありますが、経営判断には、管理会計を使うのです。

この点を、しっかりと胸に留めて下さい。

 

税理士さんに、税制改正の内容や、上手な節税の仕方についての相談をする場合、きっと色々教えてくれるでしょう。しかし、税理士というのは、税金のプロのことです。

管理会計や経営のことに関して造詣が深い税理士さんもおられますが、それらは、彼らが独自に研鑽して身につけたものです。

経営者の皆様、管理会計や経営に関する相談をする場合には、相談する相手が、管理会計や経営のことに関して精通しているのかを、あなた自身の責任で判断しなければなりません。

精通していない相手に、誤ったアドバイスをされたとしても、それは自業自得と言わざるを得ないのです。

ちなみに、公認会計士は、会計全般(財務会計や管理会計など)の専門家であり、中小企業診断士は、経営診断業務(いわゆる経営コンサルです)に関する専門家です。