税務会計の決算書は、経営判断に利用できない?その5

経営者の皆様、いつも私のブログをご覧いただき、ありがとうございます。

前回は、税務調整について、決算調整項目と申告調整項目に分類して、解説しました。

今回は、税務調整について、別の視点から分類して、解説します。

別の視点からの分類とは、その2で解説した、『財務会計をしているために生じる調整』と『財務会計をしていなくても生じる調整』という分類です。

もしかしたら、こちらの分類は、あまり意識をすることが無いかもしれません。

なぜなら、多くの中小企業では、税務会計しか行っておらず、『財務会計をしていなくても生じる調整』しか生じていないからです。

そのため、税務調整とは『財務会計をしていなくても生じる調整』のことだと勘違いされている方がいるかも知れません。

『財務会計をしているために生じる調整』が生じないのは、いいことですか?

しかし、税務会計を税金計算のためだけに利用するのであれば問題ないのですが、税務会計で作成された決算書を経営判断で利用するには問題があります。

決算書を経営判断に利用するのならば、財務会計や管理会計によって決算書を作成しなければならないのです。

そのため、『財務会計をしているために生じる調整』と『財務会計をしていなくても生じる調整』という分類は、決算書を経営判断に利用するという観点からは、非常に重要なものとなります。

『財務会計をしているために生じる調整』というのは、会計と税務で、収益や費用として認識する時点と、益金や損金として認識する時点で異なることから生じる調整のことです。

(一時的に、収益≠益金、費用≠損金になるだけで、最終的には、収益=益金、費用=損金となって、解消します。そのため、差異が生じた時の調整と、差異が解消した時の調整が必要となります。)

別表四では、一般に、総額と留保の列に記載がされることで調整がされます。

一方、『財務会計をしていなくても生じる調整』というのは、会計と税務では、考え方が異なることから生じる調整のことです。

(税務会計も会計には違いないので、収益と費用から構成されます。益金と損金から計算される税務計算とは、いつまでも、収益≠益金、費用≠損金であれば、解消しません。そのため、差異が生じた時の調整のみとなります。)

別表四では、一般に、総額と社外流出の列に記載がされることで調整がされます。

『財務会計をしているために生じる調整』になるものの多くは、(財務)会計上は費用となるが、税務上は損金とはならないことから生じます。

ですから、このような調整ないし差異を生じさせる会計処理は、当期利益を減少させるが、課税所得は減少させないので、『有税処理』と呼ばれます。

そして、経営者の方たちは、このような『有税処理』を極端に嫌う傾向があります。

そのようなこともあり、中小企業の多くでは、税務会計のみしか行われていないのかも知れません。

しかし、何度も言いますが、決算書を経営判断に利用するのならば、財務会計や管理会計によって決算書を作成しなければならないのです。

中小企業においては、財務会計はともかく、経営者が経営判断をするために利用する管理会計については行うべきでしょう。

管理会計は、やった方がいいですよ!

次回は、『財務会計をしているために生じる調整』と『財務会計をしていなくても生じる調整』の具体例について解説をします。