税務会計の決算書は、経営判断に利用できない?その4

経営者の皆様、いつも私のブログをご覧いただき、ありがとうございます。

前回、財務会計で算出された当期利益に、調整を加えることで、課税所得を算出することについて解説しました。

このような調整を税務調整と呼ぶのですが、実際には、当期利益を算出した後に限らず、当期利益の算出段階にも調整することが要請されています。

そのため、このあたりのことについて、今回、解説してみたいと思います。

実は、当期利益の算出段階でも調整することが要請されています。

これらの税務調整は、大きく分けて、以下の二つに分けられます。

  1. 決算調整項目
  2. 申告調整項目

決算調整項目というのは、株主総会で承認を受ける前に、財務会計で処理しておくことが要請されるものです。

例えば、株主総会の承認を受ける決算書類に、あらかじめ減価償却費や貸倒引当金の繰入処理などをしていなければ、そのようなものは、税務上、損金として認められないので、確定決算前(株主総会の承認前)に、費用計上せよという調整のことです。

このような決算調整が要請されるのは、一般に、経営者には、株主や銀行などへ提出する決算書の当期利益は大きく見せたいが、税務署へ提出する申告書の課税所得は小さく見せたいという欲求があるためです。

仮に、これらを経営者に自由にさせてしまうと、財務会計上では、減価償却費や貸倒引当金繰入の計上をせず、当期利益をなるべく大きく計上し、税務申告の調整で、減価償却費や貸倒引当金繰入の計上をすることで、課税所得はなるべく小さく計上してしまうことが可能になります。

そのため、このような決算調整項目に該当するものについては、あらかじめ費用として計上していなければ、そもそも損金として処理することが出来ないようにしています。

一方、申告調整項目というのは、申告調整の段階で調整をするものです。

こちらの方が、前回の、財務会計で算出された当期利益に、調整を加えることで、課税所得を算出するという解説に、きれいに合致しているので、イメージしやすいかも知れません。

申告調整には、必ず調整をしなければならないという『必須的調整項目』と、調整するかしないかを経営者の判断に任せるという『任意的調整国目』の二つがあります。

申告調整項目には、必須的調整項目と任意的調整項目があります。

必須的調整項目には、例えば、税務上で認められる以上の損金計上をしている場合に、これを税務上認められる額に修正をすることを要請する調整です。

税務上で認められる以上の損金計上をするようなことは、当然、税務上認められない処理ですから、申告調整していなければ、税務署長が是正(更正)することになります。

一方、任意的調整項目には、受取配当金の益金不算入などの、調整をすることで、課税所得が小さくなり、経営者に有利になるような調整です。

これらは、申告調整をすることで、経営者に有利に働くものですから、申告調整するかしないかは、経営者の判断に任されることになります。

そのため、申告調整をしなくても、税務署は何も言ってきません。

どうでしょうか?

税務調整にも、色々あることがご理解頂けたでしょうか?

次回は、税務調整について、今回とは別の視点から分類して、解説をします。