税務会計の決算書は、経営判断に利用できない?その3

経営者の皆様、いつも私のブログをご覧いただき、ありがとうございます。

前回は、ほとんどの中小企業では、税務会計しか行われていないという証拠について解説しました。

今回は、財務会計から税務申告書を作成するための調整について解説します。

わが国では、現在、『確定決算主義』が採られています。

これは、株主総会で承認された決算書の利益を基礎に、調整を行うことで、課税所得(税務上の利益のようなもの)を算出して、これを基準に、法人税等の税額の申告を行うというものです。

確定決算主義

つまり、国などの課税を行う側は、会社が本来行っているはずの、財務会計をベースに、これを調整することで、税務申告書を作成することを要請しているのです。

税務会計を主体に会計をせよとは要請していません。

 

それにも関わらず、何故だか、中小企業では、税務会計のみを行っているという不可思議な現象が起きているのです。

このような現象は、経営者の皆様の利益を害することは多々あっても、利することはあまりなく、私などは、このような現象が生じていることに、何故、経営者の皆様が疑問に思ったり、怒ったりしないのかが不思議でなりません。

何度も言いますが、税務会計は、(法人税等の)税額を正しく算出することを目的にした会計であり、これ以外には役立ちません。

一見、会社の財務状況に配慮しているようにも見えますが、これは、多く稼いでいるような会社から多くの税をとり、あまり稼いでいないような会社からはそれより少ない税をとる方が、国民からの不満もなく(課税の公平に配慮している)、又、税を確実に徴収する可能性が高まる(課税の確保に配慮している)からであって、会社の財務状況を正確に把握するためのものではありません。

あくまでも、それらは税務の基準に照らして、税金をどれくらいとれそうかという観点からだけ意味のある情報であって、経営者が会社の財務状況を正確に把握することに役立つような情報ではないのです。

それでは、財務会計から税務申告書を作成するための調整の話に戻ります。

そもそも、課税所得は下記のような式で算出されます。

 益金-損金=課税所得

ちなみに、財務会計で利益を算出する式は下記のようになります。

 収益-費用=当期利益

 

ここで、益金=収益、損金=費用ならば、調整する必要がないのですが、両者は完全には一致しません。下図のようなズレが生じます。

益金と収益、損金と費用の図

そこで、『確定決算主義』の場合、

確定決算主義の調整の図

という調整を行い、課税所得を算出します。

前回の解説に出てきた、税務申告書の別表四というのは、まさに上図の調整をしているものとなります。

次回も、財務会計から税務申告書を作成するための調整解説をします。