マイナンバー対応、私が思うに・・・その5

その4では、マイナンバー対応への考え方について解説しました。

今回は、『マイナンバー対応ついて、本当に大事なのは何だろう?』ということについて、私の意見を述べてみたいと思います。

ところで、経営者の皆様、J-SOXって聞いたことがありますか?

正式には『内部統制報告制度』と呼ばれるものなのですが、平成20年(2008年)4月より行われているもので、上場企業について、財務報告に関する内部統制が有効かどうかについて、経営者に評価させ、それを報告させるというものです。

これについては、監査法人(公認会計士)による監査を受けなければなりません。

J-SOXは現在も行われていますが、色々と批判も出ています。

批判の内容は概ね、J-SOXの運用コストが高すぎて、J-SOXによって得られるメリットに見合わないというものです。

私も、数年前までは監査法人に勤務していましたので、このような批判には謙虚に耳を傾けなければならないと考えていますが、個人的には、これらの批判の多くは、J-SOXの必要性が理解されていないことから生じているのだと思います。

J-SOX(内部統制報告制度)の必要性が理解されていない。

もちろん、J-SOXとマイナンバー制度とは、その制度内容や目的からして、全く異なるものですから、J-SOXで生じているような批判が、マイナンバー制度で生じるようなことはないでしょう。

ですが、社会的必要性から、法律により、企業側の都合などお構いなしに、トップダウンで導入することが要請されているという点では、両者は似ていると思います。

必要性について理解することもなく、上からの命令で一方的に手続きを導入したような場合、『人』は、従来は無かった手続きが増えているのが、非常に手間だと思うものです。

すると、だんだんと、この余計な手間を省きたくなってくるのです。

J-SOXの場合には、監査法人(公認会計士)による監査を受けているので、手間を省略する余地がなく、これらが、J-SOXにはメリットが少ないという批判になって現れるのだと思います。

 

では、マイナンバー制度の場合にはどうでしょうか?

気がつくと、手続きを省略してしまい、問題が表面化するまで、省略することが状態化してしまったり、あるいは、不満を感じていた個人番号関係事務実施者である従業員が、退職を契機に、セキュリティの不備をついて、個人番号を持ち出す・・・

経営者の皆様、こんなことは起こらないと断言できるでしょうか?

仮に、業者に個人番号の管理を丸投げしていたとしても、会社内で管理した場合とどのように違うのでしょうか?危険は全くないのでしょうか?

個人番号の管理を外部に委託しているような場合には、尚更、きちんとこれらを管理する仕組みを、会社独自に構築しておく必要があるのではないでしょうか?

マイナンバー対応に、問題はないと言い切れますか?

私は、このような事態を引き起こさないためには、組織の構成員である従業員の一人ひとりに、自分のやっている業務について『なぜ、こんなことをやっているのか?』ということをきちんと理解させ、納得させる体制を作り上げることが必要だと思っています。

そのためには、経営者自身が、組織として本来どうあるべきかについての基本的理解と、本来あるべき形にするための仕組みを組織にどう組み込んでいくべきかという視点を持ち、常にどうすればよくなるかを考え続けて、行動していかなければならないのだと思います。


経営者の皆様、『仏を作って魂入れず』の状態になっていないでしょうか?