その3では、人を資産と捉えるか、それとも人をコストと捉えるかによって、優先する組織の機能がどうなるかについて解説しました。
今回は、マイナンバー対応への考え方について解説してみたいと思います。
その1でも解説しましたが、マイナンバー法がスタートする時点で決められているのは、マイナンバーが利用される範囲は、社会保障・税金・災害対策の3分野のみであり、原則的にマイナンバーが利用可能なのは公的機関のみです。それ以外の用途などについては、認められていません。
そのため、マイナンバー法は、マイナンバーの取扱いに関しては、厳格な定めを置き、罰則も厳しくしています。
つまり、プライバシー情報である個人番号の機密確保が最優先であり、会社の側から見れば不合理と思えるような事柄であっても、マイナンバー法の定める方法を逸脱するような取扱いは、原則として、一切認められないということです。

ですから、経営者の皆様は、まずは、個人番号の取扱いが、マイナンバー法でどのように定められているかを確認する必要があります。
いきなりマイナンバー法を読みこなすのは難しいでしょうから、特定個人情報保護委員会から出されている「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」及び「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」に関するQ&A、ガイドライン資料集をお読みになるといいと思います。
これらはインターネットで、『特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)』で検索すると、すぐ見つけられます。
大事なことは、税理士やIT業者に丸投げするのではなく、経営者ご自身で、「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」及び「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」に関するQ&A、ガイドライン資料集を読み、自分なりの、マイナンバー法に対する見識を確立することです。
なぜなら、たとえ税理士やIT業者に丸投げしたとしても、監督責任は会社にあり、会社の責任者は経営者でしょうから、自分が責任を取らなければならないという事態になる可能性があるからです。

それに、個人番号関係事務実施者となる従業員に対して、「とりあえず、やっておいて!」では、事務負担や責任が増す彼らの不満が蓄積する原因にもなりかねません。
そして、マイナンバー法の厳しさを考えると、彼らの不満は無視できず、放置すれば、会社を危機にさらすことにもなりかねないのです。
税理士やIT業者が主催する研修に参加させたりすることだけで、彼らの不満を緩和できるとは、私には思えません。
やはり、マイナンバー対応に対する会社としてのスタンスや考えを、経営者自身の言葉として彼らに伝えることで、彼らの理解と協力を得なければならないと思っています。
次回は、『マイナンバー対応ついて、本当に大事なのは何だろう?』ということについて、私の意見を述べてみたいと思います。