追記:続、差別化戦略なんて、中小企業が出来るのか?を書きましたので、こちらも読んでみください。
その1からその5までで、差別化について、価格競争からは無縁ではいられないことなどについて、解説してきました。
今回は、それでも企業が差別化をする意味について、解説してみたいと思います。
その2の解説で、市場シェア1位でない企業(以下、弱者)は、差別化集中戦略(ないしは差別化戦略)を採るしかないと説明しました。
それでは、市場シェア1位の企業(以下、強者)は、必ず、コスト集中戦略(ないしはコストリーダーシップ戦略)を採るのでしょうか?
確かに、市場によっては、価格競争がクローズアップされている市場もありますが、かといって、差別化を全くしていないという市場は、現実には少ないと思います。
その理由を私なりに考えると、それは価格競争には際限がないからだと思います。
大企業の事例になりますが、家電業界のヤマダ電気という会社が、安さを武器に急成長をしました。しかし、今はショールーミング(リアル店舗で売っている商品を、手に取って機能を確認しても購入せず、より安いネット店舗で商品を購入すること)をされることによって、安さで苦戦しています。
これは、リアル店舗の市場で勝者になっても、次はネット店舗との価格競争が始まり、価格競争には際限がないということを示しています。
ヤマダ電機がリアル店舗による商売をしている以上、リアル店舗よりコストが安いネット店舗に、価格競争で勝つのは難しいでしょう。何かしらの方法で、ネット店舗との差別化をするしか方法がないのではないかと私はみています。

以上のようなことを考えてみると、差別化をすることの最大の意味は、やはり競争を回避することだと思います。差別化したとしても、今まで解説してきたように、価格競争からは無縁ではいられませんが、それでも、していない場合に比べればはるかにマシです。
特に、中小企業の場合には、差別化しなければ、競争の土台に乗ることさえ出来ないでしょう。
差別化が出来ないということになれば、それは今まで通り、大企業の下請けに甘んじるしかないということを意味します。(そして、この場合は、下請けとしての、際限ないコスト削減競争が待っているということです。)
そして、差別化をする際に考慮するものとして『ブランド』があります。
創られるには膨大な時間がかかりますが、『ブランド』こそ、その3で説明した、差別化集中戦略による参入防壁を厚くし、市場を広げるのに最も貢献してくれるものだと考えられるからです。
でも、注意しなければならないのは、『ブランド』が意味を持つものになるのかどうかは、あくまでも顧客の視点から判断されるということです。
顧客が価値を認めてくれて初めて成立するのです。ロゴを創ったりすることが『ブランド』を創ることではありません。お金では買えないのです。
このことを理解していない企業が散見されます。

このブログを読んで頂いている経営者の皆様はどうでしょうか?
このブログを読んでいるということは、問題意識が高いということです。
この点で、他の経営者の方々をリードしていることになります。
あとは、もう一度、貴社の経営理念や経営方針を見直し、顧客の視点からの差別化が出来ているのかを点検してください。
その際に、差別化は競争を回避するためのものでもあることを忘れずに考慮してください。
(出来れば、第三者の目でチェックすることが望ましいです。それが出来る『士業コンシェルジュ』をあなたは知っているはず!)
そうやって経営を続けていれば、その努力に見合った『ブランド』が創られ、次のステージに上ることが出来るようになっているはずです。
差別化戦略なんて、中小企業にも出来るのです。